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» 2019年05月07日 00時00分 公開

ビジネス解読:5G時代のIT覇権争いは? マイクロソフトの逆襲 (1/2)

グーグル、アマゾン・コムなど「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大IT企業に対し、影が薄くなっていたマイクロソフトの存在感が再び高まってきた。基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」でパソコン市場に覇権を築いていたがゆえにスマートフォンの登場以降の環境変化につまずいたが、インターネット上で提供する企業向けサービス事業で復権。第5世代(5G)移動通信システムが開くIT新時代へ攻勢を強めている。

[産経新聞]
産経新聞

 グーグル、アマゾン・コムなど「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大IT企業に対し、影が薄くなっていたマイクロソフトの存在感が再び高まってきた。基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」でパソコン市場に覇権を築いていたがゆえにスマートフォンの登場以降の環境変化につまずいたが、インターネット上で提供する企業向けサービス事業で復権。第5世代(5G)移動通信システムが開くIT新時代へ攻勢を強めている。

「クラウド」舞台に

 “パソコン時代の巨人”が、アマゾンなどスマホ時代の寵児「GAFA(ガーファ)」への巻き返しの舞台に定めたのが、インターネットを通じてデータ管理やソフトウエアの機能を提供する「クラウド(雲)」というサービス事業だ。

 ネット利用の拡大によるデータ量の増大や、個別に情報システムを維持管理することなく、必要なコンピューター機能のみを使える利便性とコストメリットを背景にクラウドは世界的に急成長。調査会社のカナリスによると、クラウドのインフラサービスの2018年の市場規模は前年比46%増の約800億ドル(約9兆円)で、20年には1430億ドルまで拡大する見通し。各種サービスを含めた19年のクラウド市場全体は、IT調査の米ガートナーが17.5%増の2143億ドルと予測する。

 この巨大な高成長市場のトップに君臨するのがGAFAの一角、アマゾン。その牙城にマイクロソフトはひたひたと迫っている。

 電子商取引(EC)を駆使するアマゾンは、ネット利用の巧みさなどから、これまでクラウドで独走してきた。18年の実績(カナリス調査)でも前年比47%増でシェア約32%とトップを維持した。だが、マイクロソフトは、アマゾンを大きく上回る82%増の伸び率でシェアを約17%に拡大。ここ数年でアマゾンとの差を着実に詰め、「2強」といえる状況に持ち込んでいる。

 市場の伸びを上回る成長率を続けるアマゾンの牙城は簡単には崩れそうにないが、ウィンドウズ環境で数々の情報システムを構築してきた実績やシステム事業での多くの提携パートナーは、アマゾンを脅かすマイクロソフトの強みだ。

VWと「コネクテッドカー」

 さらに注目したいのは、マイクロソフトが自動運転やコネクテッドカー(つながる車)といった自動車分野への足場を急ピッチで築き始めていることだ。

 独フォルクスワーゲン(VW)のヘルベルト・ディース最高経営責任者は2月末、マイクロソフトのサティア・ナデラCEOとそろって会見し、VWが20年に発売する予定の電気自動車「ID.シリーズ」から、マイクロソフトのクラウド技術でコネクテッドカーサービスを提供すると発表。3月には仏ルノー、日産自動車、三菱自動車の3社連合も、コネクテッドカーのデータ解析にマイクロソフトのクラウド技術の採用を決めた。3社連合はコネクテッドカーの車載システムでグーグルと提携していたが、マイクロソフトは世界販売トップ3のうち2つの自動車グループを自陣に引き込んだ形だ。マイクロソフトは続く4月も、独BMWとの提携関係を強化。クラウド技術による自動運転輸送システムや次世代の「スマート工場」の構築に共同で取り組むことで合意し、矢継ぎ早に布石を打っている。

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