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» 2019年05月23日 05時00分 公開

フジ『ザ・ノンフィクション』プロデューサーが明かす「人殺しの息子と呼ばれて…」制作の裏側「視聴率No.1宣言」をする真意(4/5 ページ)

[田中圭太郎,ITmedia]

「視聴率が取れなくてもいい」ではドキュメンタリーは死滅する

――『ザ・ノンフィクション』は視聴率No.1宣言をしています。これはどのような思いからでしょうか。

 テレビドキュメンタリーは、昔は、民放でも夜のゴールデンタイムで放送していました。でも、ドキュメンタリーは、基本的に自分の作りたいものを作っているので、作品ですね。そうなると視聴率が取れなくても「あの番組は素晴らしかった」と、言われたりして、傷をなめあうわけですよ。そうこうしているうちに、どんどん視聴者からは見放され、自分たちの発表の場を自ら潰(つぶ)してきたんです。視聴率が取れなくても良い番組を作ればいい、という考え方ではテレビドキュメンタリーは死滅します。

 視聴率No.1を宣言することで、キャバクラ嬢やホストなど、視聴者の興味をひく人物を扱いながら、一方でシリアの武装グループから解放された安田純平さんなど、伝えるべき社会的なテーマもラインアップで組む事ができます。1年を通して高いスコアを出してはじめて、残すべき番組だと言えるのです。

 ヒューマンドキュメンタリーは、いまはTBS系の『情熱大陸』、NHKの『目撃!にっぽん』と、この『ザ・ノンフィクション』くらいですよね。伝えなければいけないことはたくさんあるので、あえて視聴率戦争に飛び込んでいます。でも「人殺しの息子と呼ばれて…」は、視聴率を狙っていない番組だったので、うれしい誤算ですね。

――『ザ・ノンフィクション』はいつから担当されていますか?

 5年前からです。僕になってから、制作費が大幅にカットされてしまいました。だから、費用の面以外でも、撮影期間を区切らないと、いつまでも取材することが出てくるので、まず撮影期間をきっちり決めて、放送のタイミングを決めてやろう、ということにしました。毎週の番組なので、夜通し編集作業をしています。

――試写はどのようにしていますか?

 1回見て、いけると思ったら詰めていきます。ダメなときは、僕が引き取って、ディレクターと一緒に編集し、ナレーションを書いていきます。皆で、一緒にいいものを手作りでというスタンスです。

――どれくらいの数の制作会社が関わっていますか?

 30社くらいにお世話になっています。各社からの提案と、僕が酔っぱらいながら「こういうことができないかな」と話したことの2系統で企画ができています(笑)。

――張江さんはどのような発想でネタを出しているのですか。

 半分冗談、半分本当ですが、NHKがやらないことをやろうと思っています。世の中の人が抱えている、いろいろな悩みを考えながら。酒を飲む遊び場から発想することもあります。

 NHKはテーマ主義です。僕は逆です。40歳の男がホストを続けたいと思うのは、どういうことなのか、追いかけていくと見えてくる。いまの世の中が見えてくる。そういう意味では、人物本位で企画を受け付けています。

 あと、例えば、売れないユーチューバーは、どんな人生を送っているのかとか常日頃考えていますよ。ネタ探しは難しいです。

phot デスクでパソコンに向かう張江氏。壁には視聴率の数値が掲げられている

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