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» 2019年07月25日 10時37分 公開

たかじんも惚れた:老舗おでん店「たこ吉」が閉店、お好み焼き「千房」が継承へ (1/2)

故やしきたかじんさんや五木ひろしさん、王貞治さんら各界著名人にも愛された堺市堺区のおでん店「たこ吉(よし)」が、8月27日で約半世紀の歴史に幕を閉じる。秘伝のだしで炊き込まれた名店の味は、お好み焼きチェーン「千房ホールディングス」の若き料理人に引き継がれることが決まった。

[産経新聞]
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 故やしきたかじんさんや五木ひろしさん、王貞治さんら各界著名人にも愛された堺市堺区のおでん店「たこ吉(よし)」が、8月27日で約半世紀の歴史に幕を閉じる。夫妻で切り盛りしてきたが、体力面での不安から閉店を決めた。秘伝のだしで炊き込まれた名店の味は、お好み焼きチェーン「千房ホールディングス」の若き料理人に引き継がれることが決まった。(山本考志)

 引き戸を開けるとだしの香りに包まれた。15人で満席になるL字形のカウンターには3つの大鍋。「これがうちのこだわりです」。店主の住吉昭さん(77)は話す。

 大根、豚バラ肉などが入る鍋には濃いめ、厚揚げの鍋は薄め、と鍋ごとで具材とだしの風味を変える。練り物はだしに味が染み出るため具材にしない。だしはカツオ、昆布をベースに鶏ガラや野菜などおでんの具材に合わせて調合。火加減も調整する。「おでんは鍋物と考え、いろんなだしを試してこの味にたどり着きました」

 辻調理師専門学校(大阪市)を卒業後、昭和48年に開業。大阪の老舗おでん店をめぐり研究を重ねた。季節の前菜にお造りも並ぶコース仕立てのおでんなど、メニューにも磨きをかける。店は評判を呼び、完全予約制に。足しげく通ったやしきさんなど、著名人も引き寄せた。

 ただ、年月を重ね体力的に厳しさを感じてきた。予約枠は当初の1日45人から15人に絞り経営を続けてきたが、数年前に入院も経験。後継者はおらず、店じまいを考え始めていた。

photo 住吉昭さん(左)からおでんの味を受け継ぐ片山裕貴さん=堺市堺区の「たこ吉」(南雲都撮影)

 「店、頼めんかな」。今年初めごろ、来店した千房の中井貫二社長に打ち明けた。中井社長は、父で千房創業者の政嗣会長ともどもの常連。住吉さんは「会長は大阪の食を大事にされてきた方。その人柄にほれていた。直感的にお願いしていた」と話す。

 中井社長は「冗談かと思った」。政嗣会長に相談し、2人で住吉さんの意向を改めて確かめたという。中井社長は「大阪の大切な食文化を守るご縁をいただいた」と意気込む。

 住吉さんは「辞め時は難しいね。いいお客さんばかりで寂しいけど、家内にもゆっくりしてほしい」と共に店を切り盛りしてきた妻の奈津さん(82)をいたわった。閉店日までの予約はすでに満杯。店の最後までこれまで通り二人三脚で走り続けるつもりだ。

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