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» 2019年08月30日 16時08分 公開

週20万人! 阪急の人気「英国フェア」の仕掛け人 (1/4)

大阪・キタを代表する百貨店として親しまれる阪急うめだ本店。その“顔”といえば、毎年秋に開かれる恒例の「英国フェア」だ。今年で52回目を迎える百貨店催事の草分けであり、阪急といえば英国フェア、というイメージも定着している。

[産経新聞]
産経新聞

 大阪・キタを代表する百貨店として親しまれる阪急うめだ本店(大阪市北区)。その“顔”といえば、毎年秋に開かれる恒例の「英国フェア」だ。今年で52回目を迎える百貨店催事の草分けであり、阪急といえば英国フェア、というイメージも定着している。規模もクオリティーも他の追随を許さない名物イベントの一切を仕切ってきたのが、凄腕ディレクターで知られる桑原渉さん(52)だ。1週間の期間中、約20万人という集客を誇る“魔法”の仕掛け人に話を聞いた。(聞き手 編集委員・山上直子)

本物志向 催場を英国に

 「なんといっても英国フェアです。イタリアでもフランスでもなく、英国。うちではダントツの人気ですが、ほか(の百貨店)では逆なんじゃないでしょうか」と笑う桑原さん。阪急の「英国フェア」が始まったのは昭和45年。大阪で万国博覧会が開かれた年の秋だった。前年に英エリザベス女王の妹、故マーガレット王女が東京の数寄屋橋阪急(当時)に来店されたのがきっかけだったという。以来、半世紀近く。桑原さんは平成16(2004)年から担当し、催事のモデルケースともいうべき存在に育て上げた。

photo 「すべての基本は英国フェアにあります」と話す桑原さん =大阪市北区の阪急うめだ本店、祝祭広場(寺口純平撮影)

 衣食住の物産を販売するのはもちろんだが、常連客が楽しみに訪れ、長蛇の列ができて話題になるのが、英国から招く本物のティールームだ。オーナーや職人らを招聘(しょうへい)し、催場をまるごと英国にしてしまう。「そのノウハウがうちにはあります。イコール、それは私のノウハウということなんですが」とニヤリ。特にこだわっているのが紅茶と焼き菓子のスコーンで「当初は水以外は全部(小麦粉など)輸入しました」という徹底ぶりが客の本物志向にマッチした。それを他の担当者に伝授し、いまやハワイフェア、ニューヨークフェア、北欧フェアと人気の催事は数知れず。「でも全ての基本は英国フェアにある」という言葉の中には、百貨店のいわゆる海外フェアの元祖という強い自負がのぞく。

 そんな桑原さんも昨年、大きな試練に直面した。一昨年はちょうど50回の節目で、全力投球した結果、過去最高の売り上げを記録したからだ。普通はそんな翌年は数字は落ちる。「一か八かで視点を変え、ファンタジーをテーマに。ハリー・ポッターやピーターラビットなど、英国はファンタジーの宝庫ですから」。そこからが桑原さんならでは。ただキャラクター商品を並べるだけでは目新しさがない。日本にない、新しい要素が必要だ。張り巡らせたアンテナにひっかかっていたのが映画「ハリー・ポッター」などのグラフィックデザインを手がけた2人組のブランド「ハウス・オブ・ミナリマ」だった。

 「結果的にあの世界観が味わえるとファンが大挙してきてくださった」。思い切ったチャレンジは思わぬ結果をももたらす。訪れた客はそれまでの客層とは異なる若者が多く、英国フェアは新規顧客の開拓に成功したのである。

 「会場の階段で若いカップルが座ってフィッシュ&チップス(英国のファストフード)を食べていたんです。そんな光景、いままで見たことがなかった。本当にうれしかったです」

 後日談がある。今年4月、その「ミナリマ」が大阪・堀江に期間限定ショップをオープンした。東京ではなく大阪だったのは、もちろん昨年の「英国フェア」があったからだ。モノだけでなく文化や流行も紹介する、英国フェアの面目躍如だろう。

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