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» 2019年10月09日 17時55分 公開

クリップが付いた、あの鉛筆「ペグシル」 44年前に大阪で生まれた (2/2)

[産経新聞]
産経新聞
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 つらかったのは、最も売り出したいゴルフ場からの反応が冷ややかだったことだ。樹脂製のため「コース上で捨てられたら、芝刈り機が巻き込んでしまう」との懸念もあったという。

 だが、紳士のスポーツであるゴルフの愛好家に、そうしたポイ捨てはなく、むしろ「使い勝手がいい」と話題に。噂を聞きつけた大阪府茨木市のゴルフ場から5千本の注文が入った。

 創業期の岡屋には工場がなく、和子さんらがマンションの一室で樹脂に穴を開けたり、芯を差し込んだりしたという「家内制手工業」。作業は早朝から午前2時までおよび、相手が提示した1本8円を上回る20円ものコストがかかった。

 だが、その後は口コミでどんどん評判が広がり、平成3年には現在の兵庫県丹波篠山市に新工場を建設。日本中央競馬会(JRA)が馬券購入のためのマークシートを記入してもらうためにと大量注文するようになり、ほかの公営ギャンブルでも相次ぎ採用された。

 現在は24時間体制で操業しており、年間約1億2千万本を生産している。記念品や販促グッズになるようネームを印刷できるようにもした。男性を中心に広がった経緯から、今後は女性や子供向けに、キャラクター入りの商品ができないか模索しているという。

 保宏さんは20年に69歳で他界。家族で育ててきた事業は、和子さんひとりの肩にかかっている。「毎日仏壇で手を合わせていますが、これだけペグシルが広まってくれて、夫は喜んでいると思います」。夫婦の努力の結晶を手に、和子さんはそう語った。

photo 44年の歴史がある「ペグシル」と現社長の井尻和子さん=大阪市淀川区
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