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» 2019年10月24日 05時00分 公開

人気の強制「修羅場」道場に密着【前編】:ANA社員が「女子高生バレーチーム」の監督に!? 謎の人材育成プログラム「文武両道場」に潜入 (4/4)

[日比野恭三,ITmedia]
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「委任ではなく放任」 修羅場で鍛えられるリーダーシップ

 ところが、初日の最後に行われたリフレクションの場で、講師陣から厳しい指摘を受ける。

 「『任せていた』と言うけど、それは委任ではなく、放任なのではないか。もし委任していたというのなら、チームの中でどんなことが起きていたかをきちんと把握できていなくてはいけない」

 山谷さんは「自分でも感じていたことをはっきり言われた」と苦笑する。一晩考えたすえ、「バレーを知らなくてもマネジメントできることがある」と思い直した。2日目になると、ノートを片手に試合の様子を見つめながら、ミスの回数などを記録し始めた。

photo 講師陣から受講生への厳しいフィードバックがなされる「リフレクション」の風景

 「客観的な数字を出してアドバイスをするのは、私でもできるマネジメントの一つなのかなって思ったんです。今日はちょっとコミュニケーションをとれるようにもなりましたし、試合にも勝てた。みんなも昨日より楽しそうですね」

 この経験は、職場に帰ってからも生きそうだ。山谷さんは言った。

 「最初、選手たちに『どう?』って聞いても、いまいち答えが返ってこなくて。それは新入社員に対しても同じなのかなと思います。コミュニケーションをとる時には、漠然とではなく、具体的に。例えば、何時にこういうことが控えているからこれをしておかないといけない、とか。そういう指示の出し方をすることが大切なんだと気づきました」

 松田さんは言う。

 「皆さん、最初は苦労されます。でも、バレーボールがどうこうという問題ではなくて、どうやって強い組織をつくるのか、そのために自分がどんな意思決定をするべきなのかを考えることが、このプログラムの本質。そこをしっかり理解したうえで参加していただければ、効果も大きくなると思います」

 バレーボールというスポーツと職場環境の近似性を生かしたユニークな取り組み。スポーツが持つ「人を育てる力」を、学生の選手だけでなく、企業人にも活用するアイデアは非常に興味深い。

 この2日間の体験が本当に価値あるものになるかどうかは、参加者たちがそれぞれの場所に戻ってからの過ごし方に懸かっている。

photo ANA常務の國分裕之さんは参加した社員や職員に対して、真剣な表情で今回のフィードバックをしていた

著者プロフィール

日比野恭三(ひびの きょうぞう)

1981年、宮崎県生まれ。2010年より『Number』編集部の所属となり、同誌の編集および執筆に従事。6年間の在籍を経て2016年、フリーに。野球やボクシングを中心とした各種競技、また部活動やスポーツビジネスを中心的なフィールドとして活動中。近著に『最強部活の作り方 名門26校探訪』(文藝春秋)など。


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