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» 2019年11月29日 10時56分 公開

加速する店舗リストラ、関西地銀のサバイバルレース

 関西の地銀各行が店舗網の見直しを急いでいる。令和元年9月中間決算に合わせて店舗数の縮小を相次ぎ発表し、各行は「単独で生き残るための戦略」と公言する。ただ超低金利政策の長期化と人口減少という経営環境の悪化をコスト削減でどこまでしのげるのか。バブル崩壊後、多額の不良債権を抱えた金融機関が破綻・再編を繰り返す「金融の火薬庫」といわれた時代を経験した関西だけに、再編をめぐる臆測も絶えない。  (岡本祐大)

[産経新聞]
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 関西の地銀各行が店舗網の見直しを急いでいる。令和元年9月中間決算に合わせて店舗数の縮小を相次ぎ発表し、各行は「単独で生き残るための戦略」と公言する。ただ超低金利政策の長期化と人口減少という経営環境の悪化をコスト削減でどこまでしのげるのか。バブル崩壊後、多額の不良債権を抱えた金融機関が破綻・再編を繰り返す「金融の火薬庫」といわれた時代を経験した関西だけに、再編をめぐる臆測も絶えない。  (岡本祐大)

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30店舗再編も「第1弾」効率化先手

 137ある店舗のうち山間部や近接する30店舗を来年6月までに共同店舗化すると明らかにした南都銀行。橋本隆史頭取は「単独でやっていくための再編だ。(他行との合併は)まったく考えていない」と説明する。年間4億円程度の物件費が抑えられるとし、店舗人員は新規事業に投入して営業力強化に振り分ける。

 地銀としては初めての隔日営業を4店舗で実施するほか、日本郵便との共同窓口の設置に動く。

 大規模な店舗網の見直しを橋本頭取は「地域の利便性を損なうことなく、効率化を進めることは銀行業界の大きな課題。その解を模索していく」と話す。今回の再編を第1弾として「100店舗くらいが適正レベルと思っている」として、さらなる見直しを進め、筋肉質な体制への移行に先手を打つ構えだ。

 「(店舗集約を)ゆったり、やっていくつもりはない」。こう話すのは滋賀銀行の今井悦夫専務。同行では人口減少やコンビニのATM(現金自動預払機)、スマートフォンの利用で、この10年で窓口利用者は40%程度減少しているという。11月中旬には、133ある店舗を今後3年をめどに4分の3程度に集約すると発表した。

 和歌山県を地盤とする紀陽銀行は4店舗の共同店舗化を発表。関西みらい銀行や池田泉州銀行も店舗数の圧縮を進めている。

 各行とも「お客さまの利便性を損ねないようにする」と説明するが、来店客数が減少が見込まれる中、これまで通りの支店の運営は困難になっている。

 地域金融機関に経営基盤の強化を急がせているのは、監督官庁の金融庁の存在が大きい。金融庁の有識者会議が昨年4月に公表した「地域金融の課題と競争のあり方」と題したリポートは金融業界に衝撃を与えた。

 東京都を除く、46道府県別に、将来の人件費やシステムの費用を収益で賄っていけるかを調べた試算が盛り込まれた。

 和歌山、島根など23県では「(競合する地銀がなくなり)1行単独になっても採算がとれない地域」に仕分けされた。京都、愛媛など13道府県では1行、大阪、愛知など10府県でも2行しか生き残れないという内容だ。

再編は「選択肢の一つ」

 バブル崩壊後、不良債権問題が深刻化していた時代の関西は、金融の火薬庫と呼ばれていた。

 平成7年に大阪市に本店があった木津信用金庫と兵庫銀が破綻。8年には和歌山県の阪和銀が業務停止命令を受けた。さらに破綻寸前だった福徳銀と、なにわ銀行が旧大蔵省主導による「特定合併」で10年10月に誕生した、なみはや銀は設立からわずか10カ月後に破綻するという異常事態に陥った。

 経営体力のない第二地銀などを、有力な地銀がのみ込む形で金融機関の淘(とう)汰(た)が進んできた。金融システム不安が後退したのは、政府の金融危機対応会議が開かれ、預金保険法に基づく公的資金がりそなグループに投入された15年以降だ。

 もちろん、当時の不良債権問題が深刻化した時代とは現在は異なる。しかし、低金利と人口減少という市場の縮小という構造的なリスクに地銀は直面。ある関西の地銀トップは「再編を考えていない地銀などない」と明かし、再編劇に身構える。

 実際、すでに関西アーバン、近畿大阪、みなと−の3行が30年4月に関西みらいフィナンシャルグループのもとで経営統合。大正銀がトモニホールディングス傘下入りし、来年1月には徳島大正が誕生する。

 地銀再編の呼び水になるかもしれないのが「第4のメガバンク構想」を掲げるSBI。9月に島根銀、11月11日に福島銀と相次いで資本業務提携を発表した。

 今年7月に着任した近畿財務局の青木孝徳局長は地銀再編について、「(各金融機関が)役割を果たすなかでの選択肢の一つ」と位置付けた。

地銀再編へ特例法

 令和元年9月中間決算は、上場する地銀78社のうち、54社が前年同期に比べ最終利益を減らし、2社は赤字に転落。長期化する超低金利政策を背景にした貸出金の利息収入減少が響いている。近畿2府4県の主な地銀7行も、4行の最終利益が前年同期比で減少した。

 地銀再編に関して、政府は来年の通常国会に独占禁止法の適用を除外とする特例法案を提案する方針を固めた。業績悪化が続き、地域の金融サービスに支障が出る恐れがある場合、貸し出しシェア(占有率)が高くなる統合でも柔軟に容認する。

 合併では、経営体力のある側の銀行が、人事を含めた主導権を握る。

 単独で生き残るのか、統合の道を選ぶのか。いずれにしても、店舗統廃合を含めた経営効率化は、避けては通れない事情が地銀にはある。

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