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» 2019年11月29日 12時05分 公開

大型書店が閉店しても、個性派本屋さんが増えるワケ (1/2)

 出版不況やインターネット販売の影響で書店が厳しい経営を迫られ、次第に姿を消しているなか、大阪市の阿倍野区や住吉区など市南部を中心に個性派書店が増えている。地域に多く残る昭和の長屋や古い店舗をリノベーションするなどして、こぢんまりとしながら店主のこだわりが随所に光る街の本屋さん。地域の人をひきつけ始めている。(土屋宏剛)

[産経新聞]
産経新聞

 出版不況やインターネット販売の影響で書店が厳しい経営を迫られ、次第に姿を消しているなか、大阪市の阿倍野区や住吉区など市南部を中心に個性派書店が増えている。地域に多く残る昭和の長屋や古い店舗をリノベーションするなどして、こぢんまりとしながら店主のこだわりが随所に光る街の本屋さん。地域の人をひきつけ始めている。(土屋宏剛)

photo 古本とともにウクレレを並べているウェルカムブックス大阪の店内=大阪市住吉区

少年たちの秘密基地に…

 ビールを片手に鼻歌まじりに音楽雑誌を物色する男性や、子供に絵本の読み聞かせをする母親。大阪市住吉区に今年6月にオープンした古書店「ウェルカムブックス大阪」の店内には幅広い年齢層が好きなように本を手にしている。

 本棚には小説や漫画、絵本もあれば、ジャズや洋楽をテーマにした音楽雑誌も並ぶ。店主の崔勇二(チェ・ヨンイ)さん(61)の趣味が本を選ぶ基準だ。ひときわ目を引くのは本棚で販売されている楽器のウクレレ。「これも私の趣味。本屋なのに楽器も売ってます」と笑う。

 店内ではアルコールやソフトドリンクも販売する傍ら、児童用の玩具も置くなど人を呼び込む工夫をちりばめた。子連れで訪れていた近所の女性(33)は「子供が好きな絵本もたくさんあるし、自分好みの漫画や小説も並んでいて助かります。ウクレレが置いてあるのは不思議ですが、時折、優しい音が響いてくるのを聞いていつかライブにも行ってみたいと思いました」と話した。

 そこから北東に約1.5キロの住宅街。阿倍野区の洋風長屋の一角にある古書店「大吉堂」は夕方になると近所の“文学少年”たちが集まってくる。13〜19歳くらいの、子供から大人へと移り変わる時期の子供たちを対象にした、児童書と一般書の間に位置するジャンルの「ヤングアダルト小説」や、ライトノベル、国外のファンタジー小説などの品ぞろえが充実しているからだ。

 店主の戸井律郎(とい・りつろう)さん(46)も長年、こうした小説に親しんできた。しかし、海外の人気小説「ハリー・ポッター」シリーズのようなハードカバー本や新刊小説を何冊も購入するのは子供の「お小遣い」では限界がある。そこで、「古本なら安くて何冊でも読める」と、子供のための古書店開業を決意した。1冊100〜500円が主な価格帯。「本好きの子供たちにとっての秘密基地のような場所にしたい」と願う。

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