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» 2020年04月24日 17時21分 公開

民間企業夏ボーナス、コロナ禍で急減の公算 冬はもっと厳しく? (2/2)

[産経新聞]
産経新聞
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特に厳しい中小・零細

 今年夏のボーナスをめぐってとりわけ懸念されるのは、「大企業と中小企業で差が生じる可能性が高く、中小ではより厳しい結果が予想される」(第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミスト)という点だ。

 中小の場合、大企業や中堅企業の状況も参考にしながらボーナスの対応が定まることが多いとされ、支給額が決まる時期は大企業などと比べると遅くなりがちだ。その分、新型コロナによる足元の業績悪化が織り込まれやすくなり、支給額の減少に拍車がかかる。

 日本総研の小方尚子主任研究員は「東日本大震災の直後にもそうした傾向がみられた」と指摘。震災直後の平成23年夏のボーナスは前年夏と比べ、事業所規模30人以上が0.5%増だったのに対し、5〜29人は5.3%減と対照的だった。

 特に、雇用の維持や事業継続すら危ぶまれている中小企業や零細企業は、ボーナスを支給する余裕はないのが実情。減額にとどまらず、支給見送りの動きが出てくる可能性が高まる。

 第一生命経済研究所の新家氏は「新型コロナによる業績の急激な悪化の影響を強く受ける形で、中小・零細企業ではボーナス支給の見送り・大幅減額を行うところが多いだろう」とみている。三菱UFJリサーチの小林真一郎主席研究員も「大企業と比較して財務体質が脆(ぜい)弱(じゃく)な中小企業などでは、減額や支給取りやめの動きが出てくる」と話す。

今冬はどうなる

 今年夏のボーナスは、新型コロナの逆風を十分に織り込めるわけではなさそうな上、現状では新型コロナの収束はまったく見通せない。このため、マイナスの影響は今年冬以降のボーナスにも持ち越されそうだ。

 第一生命経済研究所の新家氏は「(今年夏より)さらに厳しいのは今年冬や来年夏だ」と指摘。リーマン・ショックが直撃した平成21年夏は9.8%減、21年冬は9.4%減と10%近い減少幅となったが、「今年冬や来年夏のボーナスはそれに迫る悪化幅になってもおかしくない」と語る。

 政府が4月7日に閣議決定した緊急経済対策では、感染拡大の収束に目途がつくまでの「緊急支援フェーズ」と収束後の反転攻勢に向けた需要喚起などに努める「V字回復フェーズ」の2つの時間軸で、打つべき手を盛り込んだ。V字回復フェーズでは、新型コロナの影響が大きかった観光・運輸や飲食、イベントなどの分野を中心とした消費喚起策などを通じて大がかりな反転攻勢に出るとした。

 ただ、ボーナス支給額の急減は、家計の所得環境の悪化を通じて消費者マインドの萎縮や将来不安をあおり、対策の効果が減殺されかねない懸念も大きい。

 三菱UFJリサーチの小林氏は「収束後に景気がいかに早く回復するかは、個人消費の回復速度にかかっている」とした上で、「今年夏のボーナス支給額が大幅に減少すると、個人消費の立ち直りが遅れ、景気回復の勢いをそいでしまうリスクがあることには注意が必要だ」と警鐘を鳴らす。

(経済本部 森田晶宏)

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