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» 2020年04月28日 11時44分 公開

国際会議が多過ぎないか?

 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で、国際会議の延期や中止が相次いでいる。先進7カ国首脳会議(G7サミット)はテレビ会議での実施が決まった。こうした状況に直面して感じるのは、国際会議があまりに多いということだ。本当に全て必要なのか。平時からテレビ会議で済ませるわけにはいかないのか。

[産経新聞]
産経新聞

 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で、国際会議の延期や中止が相次いでいる。先進7カ国首脳会議(G7サミット)はテレビ会議での実施が決まった。こうした状況に直面して感じるのは、国際会議があまりに多いということだ。本当に全て必要なのか。平時からテレビ会議で済ませるわけにはいかないのか。

photo 首相官邸で先進7カ国(G7)首脳のテレビ電話会議に臨む安倍晋三首相=16日夜、内閣広報室提供

 1996年3月、バンコクで開催された、アジア欧州会議(ASEM)の第1回首脳会議を取材した。欧州が世界の成長センターであるアジアへの接近を強めていた頃だ。当時から今に至るまで、国際会議の新たな枠組みは多数誕生したが、なくなったという話はほとんど聞かない。冷戦終結で敵対機関の解体はあったが、東西の垣根がなくなり、さまざまな組み合わせの会議が可能となった。

 国際会議の増加、巨大化は止まらない。仲間が集まると、他のメンバーでもやろうと盛り上がるものだ。東南アジア諸国連合(ASEAN)は日本や米国、中国、韓国など協力関係にある対話国との個別会合(プラス1)を開催してきたが、ASEANと日中韓の会合(プラス3)も開かれるようになり、その機会を利用して、日中韓の代表だけでも会った。これが発展したのが、ASEANとは関係ない今の日中韓サミットである。

 メンバーは自分の仲良しを加えたがり、あの人を入れるならこの人もとなりがちだ。東アジアサミット(EAS)も日中韓サミット同様、ASEANから派生した国際会議だ。東アジアというならASEANと日中韓の13カ国が自然だが、日中を中心に各国の思惑が絡み合い今では米露を含む18カ国となった。現在のG7は5カ国で始まったが、イタリアの参加を認めたため、欧米のバランスを取るという理由でカナダもメンバーに加わっている。

 国際会議は主催国にとって観光宣伝の場ともなる。フランスのビアリッツやカナダのシャルルボワなど、G7を機に欧米のリゾート地を知った人は少なくないだろう。さほど効果があるとは思えないが、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議では首脳が主催国の伝統衣装を着る。ASEANは域内に多数のリゾート地を擁することが、欧米の対話国を招き寄せる求心力となり、参加国が増えることで会議の重要性も高まり、主催国の観光立国にも貢献した。

 だが、これらは交通機関の発達により、世界が狭くなり、それをありがたがっていた時代の話である。

 国際会議は高額な費用と多大な労力を要する。宣言や声明など、膨大な量の文書がまとめられ、発出されるが、肝心なのはごく一部で、他の会議と似通った内容も多い。経済協力の推進を目的に出発しながら、政治・安全保障にも範囲を広げるなど、会議が巨大化し、その結果、そもそもの特色が損なわれるのだ。

 互いの理解を深めるためには、直接会うのが一番いい。だが、交流の機会なら国連総会もある。どうしても必要なら、2国間など関係国だけが集まればよい。テレビ会議なら、移動や宿泊の準備不要で、すぐに開催でき、不意に起こった問題にも即応できる。主催国の政変で中止になることもない。国際会議の増加、巨大化はどこかで止めなければならない。

 以上自宅で書きました。(論説委員)

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