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» 2020年06月08日 09時30分 公開

コロナ渦で急増、“ワケあり”ブランド在庫品を救済へ

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための自粛経済で、倉庫に眠っているブランド商品を救済するサービスが注目を集めている。一流ブランドでは、イメージを落とさないために安売りセールなどをせずに廃棄するのが一般的だが、新サービスでは商品に付加価値をつけたり販売手法を工夫したりして、再び流通させる。アフターコロナで景気回復が見通せない中、行き場の失った商品と消費者をつなぐ手段として浸透しそうだ。

[産経新聞]
産経新聞

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための自粛経済で、倉庫に眠っているブランド商品を救済するサービスが注目を集めている。一流ブランドでは、イメージを落とさないために安売りセールなどをせずに廃棄するのが一般的だが、新サービスでは商品に付加価値をつけたり販売手法を工夫したりして、再び流通させる。アフターコロナで景気回復が見通せない中、行き場の失った商品と消費者をつなぐ手段として浸透しそうだ。

photo Hameeが運営するECサイト「RUKAMO」

 緊急事態宣言で「ステイホーム」した日本では、巣ごもり需要でインターネット通販が一気に普及した。しかし、商品によって優勝劣敗が明確に分かれ、好調な家具や家電などに対し、アパレルや化粧品、嗜好(しこう)品などの販売は厳しい。

 品質上の問題はないが、さまざまな事情で売れ残った“ワケあり”のブランド商品をどうしたらよいか。こうしたニーズに応えたサービスが次々と生まれている。

 ネット通販を手がけるHamee(ハミィ)は3月、メーカーや小売店が抱える在庫を流通させることに特化したネット通販サイト「RUKAMO(ルカモ)」を立ち上げた。サイトの利用客は、全ての商品で購入価格の50%のポイントが付与される。サイトに出品されるのは、同社が受注・在庫管理を請け負っている約4000社のEC事業者の倉庫で眠っていた商品だ。同社は「販売価格を維持しながらポイントで還元することで、消費者がお得感を持っていただける」と話す。

 婦人服製造販売のバロックジャパンリミテッドが4月から始めたネット通販サイト「AUNE(アウネ)」は、アパレル商品の在庫管理の効率化や廃棄コストの削減を目指す。AUNEでは、利用者が「オフィス」「女子・ママ会」「デート」などの生活場面を検索すると、その場面に合ったコーディネートが提案され、購入することができる。

 ネットオークション情報サイトを運営するオークファンは、小売企業向けの在庫管理サービス「zaicoban(ざいこばん)」を4月から始めた。同サービスは、売れないまま在庫となっている商品を、人工知能(AI)が1商品ずつ時価を評価して毎日更新する。時価評価は、自社店舗での流通傾向に加えてネット通販における販売動向なども考慮され、商品力に課題があるのか、商品の売り方に問題があるのかなどについても指摘する。

 在庫処分業のshoichi(大阪)は、百貨店の休業の影響で生産が終了した衣料品を布マスクに再利用し、自社の通販サイトで販売している。伸び縮みや吸汗速乾、UVカットなどの機能性も備えているという。

 これらのサービスに共通するのは、在庫商品に付加価値を与えたことだ。買われるべき時期を逃してしまったり、たまたま流行に合わなかっただけで、販売時期や顧客層を変えて販売手法を工夫すれば、新しい価値を生み出せると考える。

 こうした発想は、ブランドを抱える企業にとって「非常識」だった。

 一般的に企業は、これまで築いてきたブランドイメージを守るため、在庫商品がディスカウントショップなどに流通することを嫌がる傾向にある。消費者に「安い」「売れ残り」などのイメージを持たれたくないためで、「大手であればあるほど廃棄を選ぶという選択をしていた」(業界関係者)という。

 しかし、2018年に英国のファッションブランド、バーバリーが、自社の在庫商品を焼却して処分したことがメディアに報じられ、社会問題化した。地元メディアによると、バーバリーは「環境に優しい方法で焼却した」などと釈明したが、環境保護団体から「なぜチャリティー団体に寄付しないのか」と批判されたのだ。

 国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の中にある、「持続可能な消費と生活」という観点からも、廃棄商品の削減が経営課題となりつつある。

 海外のこうした世論に加え、新型コロナ感染拡大に伴って人やモノの流れが止まったことで、在庫商品の問題が一気にクローズアップされている。

 今後、商品の廃棄という選択肢はブランド力のあるメーカーほど難しくなる。大手スーパーやコンビニエンスストアでも、プライベートブランドの割合が増えており、小売業でも無視できない問題だ。企業は、ブランド価値の維持だけにとらわれずに廃棄商品を削減する仕組みを早急に構築すべきだ。(経済本部 鈴木正行)

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