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» 2020年10月14日 12時22分 公開

間違いだらけ:第一人者が喝! 「ジョブ型=成果主義」なのか (1/3)

新型コロナウイルス禍でのテレワーク拡大で社員の評価が難しくなっていることを受け、日本企業の雇用システムを欧米流の「ジョブ型」に切り替えるべきだとする議論が新聞や雑誌で盛んになっている。だが、ジョブ型の名付け親で、労働問題の第一人者として知られる濱口桂一郎労働政策研究・研修機構労働政策研究所長は「ジョブ型を成果主義と結び付ける誤解が多く、おかしな議論が横行している」と警鐘を鳴らす。   (文化部 磨井慎吾)

[産経新聞]
産経新聞

 新型コロナウイルス禍でのテレワーク拡大で社員の評価が難しくなっていることを受け、日本企業の雇用システムを欧米流の「ジョブ型」に切り替えるべきだとする議論が新聞や雑誌で盛んになっている。だが、ジョブ型の名付け親で、労働問題の第一人者として知られる濱口桂一郎労働政策研究・研修機構労働政策研究所長は「ジョブ型を成果主義と結び付ける誤解が多く、おかしな議論が横行している」と警鐘を鳴らす。   (文化部 磨井慎吾)

「就職」と「入社」

 ジョブ型とは、採用時から職務をはじめ勤務地や労働時間などを明確化した雇用契約を結び、その範囲内でのみ仕事を行うという欧米をはじめ世界中で標準の雇用システムを指す。典型的な例が米国の自動車産業の工場労働者で、細分化された具体的な職(ジョブ)に就くという、文字通りの意味での「就職」だ。

photo 濱口桂一郎労働政策研究・研修機構労働政策研究所長

 これに対し、「入社」という言葉や新卒一括採用制度に象徴されるように、職務を限定せずにまず企業共同体のメンバーとして迎え入れ、担当する仕事は会社の命令次第という日本独特の正社員雇用は「メンバーシップ型」と呼ばれる。職種や勤務地、時間外労働などに関し使用者に強い命令権を認める代わりに、命じられた仕事がなくなった場合でも会社が別の業務に配置転換させる義務を負うなど、共同体の一員として簡単には整理解雇されない。

 この2類型は濱口所長が平成21年の著書『新しい労働社会』(岩波新書)などで命名し、現在では労働問題に関する議論で広く定着した用語となっている。

 そして、その根本的な違いは、職務が限定されているか否かという部分にある。「だからテレワークが増えて成果の評価が難しくなったのでジョブ型に移行すべきだ、というのは本末転倒な話なんです。ジョブ型雇用では、たとえば会社都合の人事異動など、今の日本企業なら当たり前のことの多くができなくなる。そうした大転換だということを全く分かっていない議論が多い」。濱口所長は、そう嘆く。

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