コロナ禍で真価
文科省の通知は、子供を介するため連絡ミスなどのトラブルが起きやすい学校現場と保護者のやりとりをよりスムーズにし、負担軽減を図るのがねらいだ。アンケートフォームのURLを保護者にメールで伝えることや、スマートフォンで児童生徒の遅刻や欠席を連絡できるシステムなども紹介されている。
学校と保護者をつなぐアプリの画面の例(EDUCOM提供)
すでにデジタル化を進めている自治体や学校もある。横浜市立山内小学校は昨年6月から、紙のプリント配布を廃止。宿泊学習への参加の確認や進路調査といった保護者宛ての連絡はメールやインターネットのシステムを使っている。
デジタル化の真価が発揮されたのは、新型コロナウイルスへの対応で学校現場が混乱した時期だった。状況が目まぐるしく変わる中にあっても、他校に比べて保護者との連絡はスムーズだったといい、佐藤正淳校長は「情報をスピード感をもって伝えることは家庭との信頼関係を築く上でも大切だ」と強調した。
埼玉県戸田市では平成29年度から「学校だより」などもデジタル化。今年度からは全公立小学校がインターネットの欠席連絡に対応している。大阪市教委も今年7月から、市教委への一部提出書類では学校印を不要にした。
情報漏洩に懸念
一方、誤送信などによる情報漏洩(ろうえい)に対する懸念や「なりすまし」問題のほか、高齢で対応に不慣れな教員の習熟という課題も指摘されている。文科省はスマホなどを持たない家庭には紙での対応も並行して行う配慮も求めているが、ある関東の公立小学校の校長は「併用すれば『紙の文化』がだらだらと続き、現場にとっては二重の負担になる」とも指摘した。
教育の情報化に詳しい国際大グローバル・コミュニケーション・センターの豊福晋平准教授(教育工学)は「学校は対面と紙が基本で、保護者とのやり取りに関するデジタル化はほとんど進んでいなかった。学校の負担軽減になり、保護者のニーズにも合う」と文科省の方針を評価。「保護者とのやりとりだけでなく、成績や出欠の管理など、校務全体のデジタル化もあわせて進めるべきだ」と指摘している。
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