住宅購入でも、戸建てではなくマンションに高い人気が集まるのは、住民やその関係者向けの共用施設の効果が大きいという。特に、居室以外に勉強や仕事に使える個室などの共用スペースを設けた、大規模なマンションへの注目が高まっている。
不動産関係者は共用施設の強みとして「テレワークにも対応しやすい」点を挙げる。通常、共用施設の維持・管理にかかる費用はマンションの管理組合で負担する。戸数の少ない物件よりも多い物件の方が負担割合が軽くなるため、大規模なマンションの方が共用施設を充実させやすいという。
共働きで子供のいる世帯では、夫妻双方の勤務先がテレワークを導入し、自宅を手狭に感じ始めた家庭も少なくない。そのため、より広い物件を求めて引っ越しを考える人たちが増加傾向にあるという。不動産関係者の一人は「コロナ禍で自宅で過ごす時間が長くなったことで、居住環境を見直し、購入を真剣に検討する人が増えた」と分析する。
他方、コロナによる業績悪化で社員の賞与の減額や不支給を決めた企業も少なくない。こうした状況でも住宅マンション市場が活況なのは、住宅ローン金利が低く、借り入れしやすい金融環境が続いていることが一因だ。また、ローン残高の1%分を所得税から差し引ける住宅ローン減税などの支援策も購入を後押ししている。
不動産関係者は「金融環境がいいことで、お客さまの住宅取得の意欲は強いと感じている」と話す。
夫妻2人で住宅ローンを組む「ダブルローン」を活用して購入する動きも広がっている。野村不動産によると、同社のマンションを購入する顧客の5割超がダブルローンを活用しているという。
copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.