新型コロナウイルスの感染拡大は、来年2月に始まる税の確定申告にも影響を及ぼしている。個人や事業主などに支給された助成金や給付金が、種類によって課税対象かどうかが異なるという。さらに国税庁では確定申告に関する疑問にネット上のAI(人工知能)が応じる仕組みを整備するとしており、活用が広がれば感染リスクの回避も期待できそうだ。(森西勇太)
インターネットを利用した手続きや相談を呼びかける大阪国税局西成税務署の職員ら=大阪市西成区の天下茶屋駅前
スマホ申告で密回避
11月17日、商店などが軒を連ねる大阪市西成区の天下茶屋駅前。税務署職員らがチラシを配布し、来年2月16日に始まる確定申告について、ネット上の「e−Tax」での手続きを呼びかけた。
大阪国税局によると、例年、申告会場には大勢の人が訪れ、手続きに数時間かかることもある。今回は入場整理券を配布する予定だが、一人でも来場者を減らしたいというのが当局側の本音だ。近年では「e−Tax」のスマートフォン利用が伸びており、同局管内でみると昨年分の利用者数は前年比約3.8倍の約9万6千人だった。簡単で3密を回避できることから、職員らはこの日、街頭で広く利用を求めていた。
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