菅義偉政権の強い意向を背景に、携帯電話最大手のNTTドコモが格安の新料金プランを発表した。KDDI(au)とソフトバンク、新規参入の楽天も対抗策を出してくると予想されるが、ユーザーは乗り換えるべきか、もう少し待つべきか。専門家に聞いた。
ドコモが来年3月から提供を始める新料金プラン「ahamo(アハモ)」は、月間データ容量20ギガバイトを2980円(税抜き)で利用でき、国内通話が5分まで無料だ。第5世代(5G)移動通信システムにも対応している。
ITジャーナリストの三上洋氏は「携帯電話業界の歴史に照らしても、シェア最大手のドコモは破壊的な価格を発表したといえる。5G対応や海外ローミング(他社との相互乗り入れ)も評価できるもので、KDDIとソフトバンクは対応せざるを得ないだろう」と指摘する。
20ギガバイトの料金プランでは、KDDIが格安ブランド「UQモバイル」で3980円(国内通話の10分までかけ放題が別途700円)、ソフトバンクは「ワイモバイル」で4480円(10分以内の国内通話無料)を用意している。それぞれ5Gには対応していない。
楽天モバイルは、通信データと国内通話が使い放題で2980円だ。MVNO(格安スマホ事業者)は20ギガバイトのプランがおおむね4000〜5000円程度で、三上氏は「アハモは、完全に楽天およびMVNOを潰しにきている」と話す。
単純比較はできないが、安さで他社を引き離したドコモ。ただ井伊基之社長は、若者向けのプランだと明言している。申し込みもネットのみで、ファミリー割引などには対応しないという。
同社は従来の料金プランも年内に見直す予定だが、一般ユーザーはどのタイミングでキャリアを選択すればよいのか。
三上氏は、「新生活を迎える少し前の2、3月に向けて各社の料金プランが出そろうことになる。KDDIとソフトバンクはアハモに似た価格を発表するだろうが、コストを考えれば5Gや海外ローミング以外のサービスで対応するのではないか。従来プランも見直されることになるが、アハモほどの低価格は想像しにくい」と分析した。
他社のプランを吟味したうえで、春先には答えを出せそうか。
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