日本銀行が14日発表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、代表的な指標である大企業製造業の業況判断指数(DI)が2四半期連続で改善したものの、新型コロナウイルス感染症の影響で、景況感の水準は先行きも含めてマイナス圏が続く。感染の再拡大もあり企業は先行きに慎重な見方を崩しておらず、景況感の回復ペースも鈍い。
新型コロナウイルス感染拡大の中、新宿駅に向かうマスク姿のサラリーマンら=東京都新宿区
中国などを中心とした輸出の改善で、自動車の景況感は前回調査と比べて大幅に改善した。政府の業界支援策「Go To キャンペーン」による需要創出もあり、運輸や宿泊・飲食サービスも前回調査に比べ景況感は改善した。
しかし、いずれもコロナ禍前の水準には及ばない。とくに対面サービスを伴う運輸や、宿泊・飲食といった業界は厳しい。
先行きの厳しさを示すように、全規模全産業の今年度の設備投資計画はマイナス3.9%と、12月調査としてはリーマン・ショック後の平成21年以来11年ぶりにマイナスとなった。
令和3年度の新卒採用計画もマイナス6.1%と、12月調査としては平成22年以来10年ぶりにマイナスだ。設備投資や雇用が縮小すれば、企業活動や景気の回復も遅れる。
ワクチンや治療薬などが普及するまでは、日本経済が感染前の水準を取り戻すのは難しい。一部の国ではワクチン接種が始まったが、日本でもワクチンや治療薬が普及するまで、政府や日銀には企業活動を支える経済対策が求められる。
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