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» 2020年12月16日 07時46分 公開

マンション業界の秘密:オフィスもマンションも買い手市場に変わる コロナ前と同じ状態には戻れない

 いよいよ新型コロナに対応したワクチンの接種が海外で始まった。期待通りの効果があるとすれば、いずれコロナ禍は世界的な規模で収まるはずだ。しかし、それにはまだ1年以上かかりそうな気配である。

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 いよいよ新型コロナに対応したワクチンの接種が海外で始まった。期待通りの効果があるとすれば、いずれコロナ禍は世界的な規模で収まるはずだ。しかし、それにはまだ1年以上かかりそうな気配である。

photo 疫病が去っても不動産業界の混乱は続く

 コロナの収束とともに経済活動も活発になる。ただし、さまざまな面で私たちはもうコロナ前と同じ状態には戻れない。

 会議や打ち合わせはかなりの水準でテレワークが可能であることが分かった。テレワーク会議は時間と費用の節約にもなる。出張の機会も少なくなるはずだ。

 そうなるとホテルや航空会社は、利用率が以前の水準まで回復しないことになる。コロナ禍の前、勢いよく事業用地を購入していたホテル業者の動きは、現時点でピタリと止まっている。

 テレワークの普及は、企業がオフィス面積を縮小させることにもつながっていく。これは早くも空室率の上昇や賃料の低下となって表れている。オフィスの賃貸契約スタイルから推定すると、この流れはあと数年以上続くだろう。1年後の賃貸オフィスは、完全な買い手市場になっていると思われる。

 住宅市場では、コロナによって、戸建て人気が顕著に表れた。ほかにも、テレワーク需要や住宅ローン審査を意識した駆け込み需要が発生したことは、以前にも説明した通り。

 都心や湾岸のタワーマンマンション(タワマン)はどうか。人気が戻るかというと、やや疑問である。都の人口が微妙に減少している現況から考えても、都心への転入者がタワマンに群がっていた現象は盛り返さない可能性がある。

 何よりもこれからコロナ不況が本格化する。それに伴い、住宅ローン返済困窮者の任意売却が、来年には激増すると予想される。異次元金融緩和が始まった13年から続いたマンションの局地バブルも終了する。オフィスとともにマンションも買い手市場へと変わるのだ。

 不動産セクターの中で唯一の売り手市場は、流通倉庫や流通センター向けの、地方や郊外のまとまった広さの土地。これらは今でも活発に動いている。場所も規模も都心のオフィスやマンションと違いすぎるので、同じ不動産といっても別物である。

 新築マンションの供給はというと、21年以降も数は減らすだろうがそれなりに続き、価格も2〜3年はこのままだろう。

 一方、売り手も買い手も個人である中古マンションは、売り急ぐ事情のある人が多くなりそうでジワジワと下がっていきそうだ。

 景気が回復すれば、金融緩和は終了する。そうなればマンション市場は本格的な下落期を迎える。それは23年以降だとみている。

榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。


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