上場企業の粉飾決算で損失を受けた株主約200人が、株の売り出しで中心的な役割を担う主幹事のみずほ証券に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(宮崎裕子裁判長)は22日、みずほ証券の調査が不十分だったとして賠償責任を認め、同社の免責を認定した二審判決を破棄、審理を東京高裁に差し戻した。5裁判官全員一致の結論。
金融商品取引法は、虚偽記載のある書類で株を募集した証券会社は賠償責任を負うと定めているが、虚偽と知らなかった場合などは免責される規定がある。
第3小法廷は「監査の信頼性に疑義が生じた場合、疑義の内容に応じて調査しないと免責を受けられない」と判示した。
その上で、みずほ証券は粉飾を具体的に指摘する2件の投書を受け取っており「企業に資料の提示を求めたり同社を監査した会計士に事情聴取したりできたのに、粉飾の可能性を否定するだけの調査をしなかった」などと指摘。賠償責任を負うと判断し、具体的な損害額を算定するため審理を高裁に差し戻した。
みずほ証券は「免責が認められなかったことを真摯に受け止めている」とコメントした。
一連の訴訟では、一審東京地裁がみずほ証券が賠償責任を負うと判断したのに対し、二審は同社が注意義務は尽くしたとして一審判決を取り消していた。
一、二審判決によると、半導体製造装置メーカー「エフオーアイ」が21年11月に東証マザーズに上場したが、売り上げの97%が架空だったと発覚し、22年6月に上場廃止となった。元社長らは金商法違反罪で実刑となり、旧経営陣に対しては約1億7500万円の賠償命令が確定した。
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