事情を聴くと、窓口業務や保健所のコロナ対応など「住民と接する業務が多く、テレワークは難しい」(千葉県)という声が多かった。「テレワークのためのモバイル端末が不足している」(横浜市)という意見も目立つ。民間であれば経営判断で全社員にパソコンを支給することも可能だが、さいたま市の担当者は「住民に使うべき財源をどこまで使っていいものか…」と悩みを打ち明ける。
一方で埼玉県は自宅のパソコンからシステムに入れる仕組みを整備したにもかかわらず、テレワークの実施率は前回緊急事態宣言が出された昨春の10分の1に低下した。出勤自粛の呼びかけは続けたが、いつの間にか従来の働き方に戻ったといい「職員の意識の問題は大きい」と語る。
職場で感染が広がり、住民サービスが滞るリスクを回避する観点からも、勤務の分散は重要だ。NIRA総合研究開発機構の井上敦研究員も「役所でも在宅勤務が可能な業務は多いが、紙文化が根強く、稟議(りんぎ)の回し方など昔ながらの仕事のやり方がテレワークを阻害している」と改善の必要性を指摘している。
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