パナソニックは2日、令和3年3月期の通期連結業績予想を上方修正し、売上高を6兆5千億円から6兆6千億円に、最終利益を1千億円から1500億円に引き上げた。新型コロナウイルスの感染拡大で在宅時間が増えることによる家電などの販売増や、悪化していた車載機器事業の回復などを見込んだ。
ただ、前期比では売上高11.9%減、最終利益33.5%減の減収減益予想となった。売上高が7兆円を下回れば平成8年3月期以来、25年ぶりとなる。楠見雄規次期社長の下で成長の道筋をつけることができるかが課題となる。
業績予想の上方修正について、2日の決算会見に出席した梅田博和常務執行役員は「経営体質の強化とともに社会の変化に対応する事業領域で販売を増やすことができた」と述べた。
車載機器事業で自動車市場の回復が想定以上に早まったことや、巣籠もり需要などによる白物家電、空気清浄機などの販売増を織り込んだものの、航空機向け事業などでは回復が遅れていることを反映した。
一方、米電気自動車(EV)テスラ向けの車載電池事業は北米工場での生産量増加に伴う材料の合理化でコスト削減が進み、今期は通期で初めての黒字化を想定。テレビ事業は高画質で付加価値の高い製品への特化や一昨年のメキシコ工場売却で今期中の赤字解消を見込んでいる。
同時に発表した2年4〜12月期連結決算は、売上高が前年同期比15.3%減の4兆8732億円、最終利益が26.9%減の1301億円だった。
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