東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が辞意を固めたことを受け、経済界には「やむを得ない」といった雰囲気が広がっている。スポンサー企業からは森氏の女性蔑視ともとれる発言に批判や苦言が相次いでいたからだ。消費者や国際世論の厳しい反応がこれ以上に拡大すれば、企業イメージの低下につながりかねない。日増しに強まっていった企業の批判的な姿勢が、辞任に少なからず影響した可能性がある。
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(代表撮影)
スポンサーの日本郵政は11日、森氏が「五輪精神に反する発言をしたことから、(辞任は)やむを得ない」とのコメントを発表。その上で、「後任の方には、多様性と調和を掲げる五輪精神にのっとった大会になるよう尽力いただきたい」との期待感を示した。
スポンサーの大手金融機関の広報担当者も11日、「今後は(五輪の)理念に沿ったメッセージの発信を願っている」とコメントし、会長交代を機に早期の信頼回復に努めるよう求めた。
一方、トヨタ自動車は10日、森氏の発言に対し「トヨタが大切にしてきた価値観と異なり、誠に遺憾だ」との豊田章男社長のコメントを発表。森氏の辞任が明らかになる前は、スポンサー企業からの非難が相次いでいた。
国内スポンサー全68社は昨年12月、合計で220億円を超える協賛金の追加負担を受け入れたばかりだ。組織委は今月8日夜、スポンサー企業にオンラインで一連の経緯を説明。関係者によると、企業側からは批判的な声が多かったというだけに、辞任のタイミングの遅さも指摘されそうだ。
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