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» 2021年05月03日 17時04分 公開

マスク時代に開花する「香りの文化」 香水サブスクじわり人気(2/2 ページ)

[産経新聞]
産経新聞
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最初の記録は日本書記

 コロナ禍で楽しむ人が増えている香水だが、日本には古くから、香りの文化が存在した。

 ポーラ文化研究所の研究員、富沢洋子さんによると、香りに関する歴史で、最初の記録と考えられるのは日本書紀だという。淡路島に流れ着いた香木の木片を、人々が朝廷に献上したと記されている。6世紀初めに仏教が伝来すると、仏教寺院の中を清める目的で香が用いられた。

 香りの文化が開花したのは平安時代。当時、身分や階級による装束規定があり、他人に容姿を見せないことをマナーとする慣習のなかで、装束に付けた香りが、個性を表現する手立てだったという。

 「源氏物語にも香りに関する記述が多い。素晴らしい香りを合わせられる人は、知識と財力があると認識された時代だった」と富沢さんは話す。

 室町時代には、香りを鑑賞する日本独自の芸道「香道」が発展。戦国時代には、織田信長が東大寺正倉院の名香・蘭奢待(らんじゃたい)を切り取ったエピソードが示すように、香は政治にも用いられるようになった。

 庶民階級の生活における香りの記録が残り始めるのは、江戸時代後期から。

 「商品名に『香』の字が使われたおしろいや、結った日本髪を固める髪油にも香りが付けられ、生活の中によい香りがあったと考えられる」という。

日本は「香水途上国」

 江戸時代まで、香木など植物に由来する固形や粉末状の香を楽しんでいた日本人。液体の香水は、明治時代になり、欧米から輸入が始まる。当初は高級なものだったので、華族ら特権階級の人々の間で使われ始めた。庶民には手の届かない存在だったが、国産香料の生産もはじまり、次第に「西洋の香り」自体は一般にも広がっていく。

 富沢さんによると、明治20〜30年代に、香水に使われる動物性の「麝香(ムスク)入り」とうたった化粧品やせっけんが数多く発売されたそうだ。

 「獣の香りがエキゾチックで新しく感じたのかもしれません」

 それでは、日本で香水が一般に使われるのはいつからか。実は、日本の香水市場は発展途上にあるという。

 香水評論家の平田幸子さんは「コスメ関係の売り上げの半分近くを香水が占める欧米に比べれば、日本はまだまだ香水への関心が低いのが現状」と指摘する。

 コロナ禍で海外旅行ができない今、平田さんが提案するのは、居ながらにして「香りで旅する」楽しみ方だ。

 「例えば、イタリア産レモンを使った柑橘系の香水を使うと、産地のカプリ島に行った気分になる。さまざまな香りで旅情や空間を楽しんでみてはいかがでしょう」 (文化部 篠原那美)

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