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「液化水素運搬船」先駆者の川崎重工 河野一郎常務に聞く「韓国や中国がまねできない技術」生き残りをかけた技術競争(4/4 ページ)

» 2021年05月07日 08時53分 公開
[中西享ITmedia]
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環境技術で生き残りかける

 この数年、日本の造船業界は中国や韓国に受注を奪われ、造船会社が整理統合を迫られるなど苦しい状態が続いている。10年ほど前までは日本の造船会社が得意としていたLNG船も、大半が中国と韓国で建造されていて、日本の出番が少なくなっている。このため、日本の造船会社は生き残りをかけている。

 船の排出ガスの環境規制が強まる中で、これまでの重油を燃料とした船に代わって、日本独自の技術を生かせるLNG、LPG(液化石油ガス)を燃料にしたガス燃料で走る環境対策船を建造して 、存在感を発揮しようとしている。20年度の同社全体の売り上げ見通しは約1兆5000億円。このうち船舶海洋ディビジョンは約800億円程度で比率は5〜6%しかない。河野常務は話す。

 「当社では現在、中国にある合弁会社で多くの船舶を建造し、香川県にある坂出工場は環境技術のブラッシュアップをするマザー工場と位置付けています。今後、船舶部門では売上規模を追い求めるのではなく、他社がまねできない技術力で勝負していきたいと考えています」

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