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» 2021年06月07日 09時42分 公開

中国人投資家が日本に照準、不動産「爆買い」再燃か

 中国発の新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以来、中国人観光客が日本に押し寄せる姿はなくなった。だが、中国の投資家は日本のマンションなど不動産投資を虎視眈々と狙っており、「爆買い」が再燃しつつあるという。その背景には「灰色のサイ」ともいわれる中国の不動産バブルの崩壊懸念という深刻な事情もあるようだ。

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 中国発の新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以来、中国人観光客が日本に押し寄せる姿はなくなった。だが、中国の投資家は日本のマンションなど不動産投資を虎視眈々と狙っており、「爆買い」が再燃しつつあるという。その背景には「灰色のサイ」ともいわれる中国の不動産バブルの崩壊懸念という深刻な事情もあるようだ。

photo 東京都心の不動産への投資熱が再燃しているという

 アジア最大の不動産ITグループ、IQIが5月19日に発表した調査では、中国の投資家27%が「今後2年以内に海外で不動産を購入する予定」と答えたという。中国国営通信の中国新聞社が報じた。

 調査では新型コロナ収束後、47%が「最初に海外旅行に行くときに不動産を見るかもしれない」と答え、行きたい旅行先として34%が東アジアと回答したという。

 同社の中国語サイトでは、国別人気ランキングで日本が2位(最終更新2020年10月)となっており、皇居からほど近い千代田区一番町の高級マンション(2LDK、87平方メートル)が約9500万円で売りに出されているほか、北海道や沖縄などの販売物件が数多く確認できる。

 コロナ前には中国人投資家に向けた日本の不動産の現地視察ツアーも数多く実施されていた。コロナ禍で訪日は難しくなっているが、今も購買意欲は高いようだ。

 中国人による日本の不動産買いについて、住宅ジャーナリストの榊淳司氏は「2016年ごろにブームだったが、コロナ禍における不動産価格の下落で、昨年末ごろから人気が再燃している。日本の不動産会社を通じて購入する投資家が多く、ほとんどが投資目的のようだ。都内や北海道、沖縄のリゾート地など、個人であれば数十億円レベル、ファンドであれば数百億円レベルまで売買するとみられる」と解説する。

 中国の不動産をめぐっては、投機の過熱による価格高騰の一方、不動産会社の過剰在庫や債券デフォルト(債務不履行)が問題になっている。

 金融市場では、実際に発生すると深刻な問題を引き起こすにもかかわらず軽視されているリスクのことを「灰色のサイ」と呼ぶ。ふだんはおとなしいサイが暴れだすと手がつけられなくなることによるものだが、現状では中国の不動産バブル崩壊がこれに相当すると懸念されている。

 中国事情に詳しい評論家の石平氏は「中国の超富裕層は、国内の不動産バブルのリスクに敏感で、海外に目を向けている。欧米は外交上対立し、風当たりが強いため、そのほかの先進国、イコール日本に目を向けているのだろう。またコロナ禍で超富裕層は資金を使えなかったので、その分、コロナ収束後に日本への投資も爆増することになるだろう」と指摘した。

 海外マネーによる日本の不動産取得に政府は神経をとがらせている。安全保障上、重要な土地の買収対策として政府与党が今国会での成立を目指す土地利用規制法案は衆院を通過、4日にも参院で審議入りの見通しだ。

 法案は防衛施設や海上保安庁施設、原子力発電所などの重要インフラ施設周辺約1キロと国境離島の土地を「注視区域」として調査対象に設定。不適切な利用に対して中止を勧告・命令できる。

 1日の衆院本会議で立憲民主党と共産党は反対した。衆院内閣委員会では自民、公明、日本維新の会、国民民主の各党が共同提案し、国民の自由と権利を不当に制限しないよう留意すること、水源地や施設内の民有地についても今後検討することなどを盛り込んだ付帯決議案も可決した。

 前出の榊氏は「中国本土とは異なり、完全な所有権を得ることのできる日本は魅力で、政府による経済制裁のリスクも低いため安全安心と考えられている。今後、日本国内では飲食ビルや自社ビル売りも予想されているため、不動産価格が低い限り彼らは魅力的だと捉えるだろう。ただ、不動産は購入者の統計もないため、実態が分からない側面もある」と述べた。

 中国の富裕層による不動産購入が全て安全保障上の問題に直結するわけではないが、海外からの不動産投資が再び活発になる前に、法案を成立させる必要がありそうだ。

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