クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向
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» 2021年06月07日 09時44分 公開

逆風受け終焉に向かうPHV 何がどう変わり、そして将来どうなるのか(1/2 ページ)

 プラグインハイブリッド車(PHV)は、これまで規制面で優遇されてきたが、最近、逆風が吹いている。PHVはガソリン車(ハイブリッド車含む)と電気自動車(EV)の欠点を補うクルマとして、市場に受け入れられてきた。しかし、どうも風向きが変わったようにも見える。何がどう変わったのか、そして将来はどうなるのか。(日本電動化研究所代表取締役・和田憲一郎)

[SankeiBiz]
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 プラグインハイブリッド車(PHV)は、これまで規制面で優遇されてきたが、最近、逆風が吹いている。PHVはガソリン車(ハイブリッド車含む)と電気自動車(EV)の欠点を補うクルマとして、市場に受け入れられてきた。しかし、どうも風向きが変わったようにも見える。何がどう変わったのか、そして将来はどうなるのか。(日本電動化研究所代表取締役・和田憲一郎)

photo トヨタ自動車のプリウスPHVをベースに開発されたコンセプトカー。今後、PHVのフルモデルチェンジも大幅に減少しそうだ=昨年1月、幕張メッセで開かれた東京オートサロン(ブルームバーグ)

ガソリンスタンド急減

 昨年9月に米カリフォルニア州知事が「2035年に州内で販売される新型車はゼロエミッション車を義務づける」と公表したとき、ガソリン車、ハイブリッド車が廃止となることは理解するものの、筆者はPHVについても危ないのではと思った。というのは、同州のゼロエミッション車(ZEV)規制には10余りの州が追随しており、30年頃になれば、ガソリン車、ハイブリッド車が次第に販売禁止となることを見越して、多くのガソリンスタンドが廃業になるのではと思ったからである。現在、米国では約15万カ所のガソリンスタンドがあるが、30年頃にはおそらく10万カ所を下回るであろう。ということは、ユーザーがPHVを購入しようにも、近くにガソリンスタンドがなく、購入を躊躇(ちゅうちょ)することとなる。

 一方、欧州に目を転じれば、21年4月に、グリーンファイナンスに関するEU規則草案で「25年以降メーカーがPHVをサステナブル投資に分類することを禁じる」と報道された。

 まだ草案段階ではあるものの、多くの投資家は今後PHVへの投資意欲が低下することを意味する。もう一つの動きは欧州の「ライフサイクルアセスメント(LCA)規制」である。

 欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会、欧州議会、欧州連合理事会は、18年に自動車の生産やエネルギー生成、走行、廃棄、再利用などの二酸化炭素(CO2)排出量の総和を評価するLCAに関して、検討を開始することを非公式に合意した。その後、23年までに欧州議会が調査し、EUの評価方法が適切であれば、法制化することとなっている。このようなLCA規制では、PHVの場合、ガソリン車とEVの2つの機能を併せ持つため、部品点数が多く、極めて不利な状況となる。米国、欧州とも、規制面でPHVに逆風が吹いており、現在は販売好調であるものの、将来に対して暗雲が立ち込めてきたと感じている。

 さらに、PHVの将来性を裏付ける内容が、21年5月に国際エネルギー機関(IEA)の「50年脱炭素 工程表」で発表された。それによれば、全世界の新エネルギー車の販売比率では、30年時点ではPHVが約20%存在するものの、50年にはほぼなくなっている。

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