金融機関のデジタル活用〜デジタル活用のヒントを探る〜
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» 2021年08月18日 09時18分 公開

飛行機や映画…裾野広がるデジタル証券、小口化容易で金融各社が知恵比べ

 債権、不動産の所有権や配当などを受ける権利を電子化したデジタル証券を発行する動きが広がりをみせている。暗号資産(仮想通貨)に使われる記録技術「ブロックチェーン」の活用で参加者同士が互いに取引を承認しあうことから、発行や管理のコスト、決済にかかる時間を低減できるため、小口化が容易になり、少額投資を募りやすいのが特徴。不動産、社債などが対象となっているが、金融機関各社は飛行機や映画を対象にしたユニークな証券の発行も想定しており、多様化が進めば投資の拡大につながりそうだ。

[SankeiBiz]
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 債権、不動産の所有権や配当などを受ける権利を電子化したデジタル証券を発行する動きが広がりをみせている。暗号資産(仮想通貨)に使われる記録技術「ブロックチェーン」の活用で参加者同士が互いに取引を承認しあうことから、発行や管理のコスト、決済にかかる時間を低減できるため、小口化が容易になり、少額投資を募りやすいのが特徴。不動産、社債などが対象となっているが、金融機関各社は飛行機や映画を対象にしたユニークな証券の発行も想定しており、多様化が進めば投資の拡大につながりそうだ。

photo デジタル証券で小口投資が可能になる

 デジタル証券は昨年5月施行の改正金融商品取引法で法整備されて発行に向けた動きが活発化。中でも三菱UFJ信託銀行は今年3月に売買や購入者の名簿を管理するプラットフォーム(基盤)を開発した。不動産運用会社ケネディクス、野村証券、SBI証券と協業し、ケネディクスが保有する東京・渋谷の賃貸マンションを投資対象にしたデジタル証券を8月3〜9日に販売した。

 1口100万円、1453口で家賃収入に応じた配当収入が得られ、想定利回りは3.5%。デジタル証券の広範な流通市場はないが、証券会社を介して売買できる。三菱UFJ信託銀の担当者は「従来は多額の資金を持つプロの投資家や富裕層しか投資できなかった高級不動産などが、デジタル証券で小口化できるようになり、一般投資家層の広がりが期待できる」と話す。

 飛行機やスタジアムなどを対象に利用・観覧の権利を付帯することも可能なことから、今後、多様な商品展開を通じて広範な投資につなげたい考えだ。

 SBI証券は4月、野村ホールディングスなどが出資するIT企業「BOOSTRY(ブーストリー)」主導のプラットフォームを使って1億円分のデジタル社債を発行し、資金調達した。額面10万円単位、利率0.35%で、特典として保有額に応じて暗号資産「XRP」を付与。2時間ほどで売り切れたという。

 「初めての販売だったので不安もあったが、瞬間蒸発みたいにすぐに売れた」。SBI証券の担当者はこう振り返り、デジタル証券の将来像について「映画やゲームを作るファンドなど、今までアプローチしていなかったところを対象にしていければと考えている」と話す。

 このほか、三井住友信託銀行も今年3月、クレジットカードの債権を裏付けとしたデジタル証券を発行した。

 広がりをみせるデジタル証券だが、浸透するためには流通市場を整備し取引しやすくすることが欠かせない。SBIホールディングスと三井住友フィナンシャルグループは共同でデジタル証券を取引する私設取引システム(PTS)を開設する方針を掲げている。

 デジタル証券に詳しい日本総合研究所先端技術ラボの市原紘平ブロックチェーン・スペシャリストは、「ブランド力のある企業がファンから投資を募るなど新たな資金調達の手段として期待されるが、本格的に普及していくためには各社が知恵を絞って投資家層の心に刺さる特典を用意する必要がある」と指摘する。(高久清史)

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