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» 2021年09月05日 08時00分 公開

医療経営学者が明かす、「コロナ医療危機」の問題点背後に潜む経営難(1/2 ページ)

新型コロナウイルスの感染が全国規模で拡大し、医療崩壊が現実のものとなっている。中央大大学院教授で総合内科専門医の真野俊樹氏(医療経営学)は、コロナ禍によって露呈した日本の医療制度の限界を指摘し、現状の課題と改革案を提言する。

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 新型コロナウイルスの感染が全国規模で拡大し、医療崩壊が現実のものとなっている。中央大大学院教授で総合内科専門医の真野俊樹氏(医療経営学)は、新著『新たな医療危機を超えて コロナ後の未来を医学×経済の視点で考える』(日本評論社)で、コロナ禍によって露呈した日本の医療制度の限界を指摘し、現状の課題と改革案を提言する。

 世界に誇る病床数を有する日本で、なぜ医療逼迫(ひっぱく)や医療崩壊の危機となったのかは大きな論点だが、真野氏はコロナ禍以前からの医療制度の課題と、背後に潜む病院の経営難に注目する。

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 真野氏は「世界と比べて病床は多くても高齢者医療や生活習慣病対応に軸足を置いていたため、1床当たりの運用に必要な人員が少なくて済んでいた。さらに経営が厳しく、潤沢に人員が確保できない状況を招いている」と語る。

 同書によると、全国の病院の利益率はコロナ前の2019年4月には1.5%だったが、20年4月はマイナス8.6%、コロナ患者の入院を受け入れた病院ではマイナス10.8%と赤字経営を余儀なくされている。

 日本の医療行政は、独立行政法人化や民営化など「公から民へ」という方向で進められてきたが、民営化しても財政面は診療報酬で公的にカバーされる制度のアンバランスさは残った。病院側が医療の質の向上を望んでも、公定価格に縛られた収益構造が経営難の一因になっているという。

 コロナ禍による医療の逼迫が深刻化するにつれ、厚生労働省と東京都は、都内の全ての医療機関に対し、新型コロナ患者向けの病床確保と最大限の患者受け入れを要請。正当な理由なく、要請を拒んだ場合の勧告や、従わなかった場合の医療機関名の公表もできる強制策を打ち出した。

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