4年連続の赤字だったアイドルフェス 「@JAM」の仕掛け人は、いかにして黒字化させたのか?アイドルプロデューサーの「敗北、信念、復活、成功」【後編】(5/5 ページ)

» 2021年09月23日 15時54分 公開
[柳澤昭浩ITmedia]
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想いなくしては成功しない

 以上が橋元さんへのインタビュー内容だ。21年の@JAM EXPOは、8月27〜29日横浜アリーナで開催された。東京での新型コロナウイルスの新規感染者は数千人に及び、全国各地で開催される音楽イベント(フェス)開催による問題も多く報道されたのがこの時期だ。

 筆者が@JAM EXPOの会場に足を運び感じたことは「まもる」という言葉だ。運営主催者は規制当局による感染拡大予防ガイドラインを「守る」、ライブに参加するファンは音楽・アーティストを「護る」。開催から2週間後、@JAM公式サイトでは、このイベントによる感染者がいなかったことが報告された。一日でも早く、安全に、安心にライブを楽しめる日が来ることを願うばかりだ。

 @JAM総合プロデューサー橋元恵一さんのインタビューを3回にわたりお届けしてきた。ライブ現場の取材を続けていく中で印象に残ったのは、@JAMという大規模なイベントプロデュースだけでなく、幾つもの個別アイドルのプロデュ―スにも関わっていることだ。彼がプロデュ―スしているアイドルグループのGran☆Ciel(グランシエル)のニューシングル「Message!」は、コロナ禍にあってオリコンデイリーチャート1位を獲得した。

 想いだけではプロジェクトは成功しない――。これは橋元さんのインタビューで痛いほど伝わってきた。その一方で、「想いなくしては成功しない」こともまた、インタビューをしていて感じたことだ。橋元さんの言う「アイドルシーンをけん引する、支える」という言葉の奥には絶えることのない情熱がある。

ライブを見守る橋元さん

著者プロフィール

柳澤 昭浩(やなぎさわ あきひろ)

18年間の外資系製薬会社勤務後、2007年1月より10期10年間に渡りNPO法人キャンサーネットジャパン理事(事務局長は8期)を務める。科学的根拠に基づくがん医療、がん疾患啓発に取り組む。2015年4月からは、メディカル・モバイル・コミュニケーションズ合同会社の代表社員として、がん情報サイト「オンコロ」コンテンツ・マネージャーなど多くの企業、学会などのアドバイザーなど、がん医療に関わる様々なステークホルダーと連携プログラムを進める。「エンタメ×がん医療啓発」を目的とする樋口宗孝がん研究基金、Remember Girl’s Power !! などの代表。


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