広がる鉄道QRコード決済、紙のきっぷは消えていくのか(1/4 ページ)

» 2024年07月13日 18時17分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 関西の鉄道各社が、QRコードやクレジットカードに対応したキャッシュレス乗車サービスの導入を加速させている。増大する訪日客の利便性を高める狙いのほか、将来的な磁気乗車券の廃止を視野にQRコードの導入を進める。長年親しまれた紙のきっぷは消えていく流れだが、各社の戦略や導入スピードには差があり、将来的な決済サービスがどのような姿になるかはまだ見えてこない。

訪日客の取り込み狙う

 大阪メトロなんば駅の改札では、訪日客の家族連れがスマートフォンを改札にかざし、次々に駅構内に入場する光景が見られた。彼らが通過していたのは、QRコードに対応した改札だ。

 大阪メトロや関西の大手私鉄、バス会社などが加盟する「スルッとKANSAI協議会」は6月、QRコードの共通乗車券などを販売する新施策「スルッとQRtto(クルット)」を開始した。大阪メトロは鉄道と傘下のバスが乗り放題になる企画乗車券を発売。阪急電鉄は1日乗り放題券、京阪電気鉄道は乗り放題券のほか、遊園地「ひらかたパーク」の入園券と鉄道の乗車券が一体化した企画券などを販売する。スルッとクルットのサイトから購入すれば、QRコードがスマホなどの画面上に表示できるようになる仕組みだ。

 各社がQRコードの導入を進める理由の一つに訪日客の取り込みがある。スルッとクルットのサイトは英語や中国語などにも対応し、訪日客は事前に購入すれば改札などで並ぶ必要もなく、スマホさえあればスムーズに移動ができる。

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