
企業のキャンペーンや新商品情報などを顧客に案内する手法として古くから使われてきた郵送ダイレクトメール(以下、郵送DM)。デザインを工夫すれば企業ブランディングにつながる他、本人宛てのはがきが自宅に届くため受け取り側への“特別感”を演出できる。契約更新時期や会員情報の通知に郵送DMを利用している企業も多いだろう。
しかし、郵送DMは印刷や郵送にコストがかかる上、デザインの作成から発送までに日数を要するなどのデメリットもある。住所不備で返送されたDMの処理などの業務負担がある上、受取人が内容を確認したかどうか把握できず、企業が次のアクションに移りにくい点も課題と言える。
企業を特に悩ませているのが、2024年10月に予定されている郵便料金の引き上げだ。通常はがきは現在の63円から85円に引き上がる。一度に多くの郵送DMを送る企業にとって、コストの増加は避けられない。
「印刷費の高騰や郵便料金の改定に伴い、通知物の電子化は必須となりつつあります」と話すのは、KDDIの原真吾氏(経営戦略本部 データマネジメント部 メッセージングG グループリーダー)だ。続けて「ただ単に通知物を紙からデジタルに置き換えるのではなく、成果につながるデジタル活用が重要です。環境変化に対応し、業務負担やコスト削減につながる効果の高い通知業務のスキームを確立すべきでしょう」と指摘する。
原氏が指摘する「より効果の高い通知業務」を実現するツールとして注目されているのが、携帯電話番号宛てに短いテキストを送信するSMS(ショートメッセージサービス)だ。SMSであれば印刷費はかからず、受信者のスマートフォンにポップアップ通知が表示されるので開封率の増加も期待できる。
「われわれはSMSのメリットを『お客さまのお手元に届く』と表現しています。郵送DMが届くのはエンドユーザーの自宅のポストです。SMSはエンドユーザーの一番近くにあるスマホに、タイムリーな情報を発信できるのです。受信者は外出先でも好きなタイミングで内容を確認できます。そこが郵送DMとの大きな違いです」
SMSの効果が分かる事例として原氏は、KDDIとSupershipが共同提供するSMS送信サービス「KDDI Message Cast」を導入した企業を紹介する。
「ある大手のクレジットカード会社は、郵送DMの送付にかかるコストや業務負担の削減、準備から送付までのタイムライン短縮を目的に、一部をSMSによる通知に切り替えました。その結果、約56%のコスト削減に成功し、配信までの時間短縮と返送処理業務の大幅な削減ができました」
送付業務やコストの削減、リアルタイム性といったSMSの利点は理解できるものの、特別感の演出やパーソナライズできる点が強みである郵送DMの代替とはなりにくい。その課題解決の一助として原氏が紹介するのが、SMSの利点に郵送DMの特徴を加えた「KDDI Message Cast for DXハガキ」(以下、DXハガキ)だ。KDDI Message Castのオプション機能で、エンドユーザーごとにカスタマイズした専用ページのURLをSMSで送付できる。
原氏はDXハガキの特徴として「パーソナライズ」「双方向性」「行動履歴取得/分析」の3つを挙げる。
「SMSは『気付かせるツール』です。テキストメッセージで必要最低限の情報を発信し、リマインドする役割が中心です。そこに『受信者の次の行動を促す仕組み』を追加できるのがDXハガキです。DXハガキの専用ページは個人単位で名前の出し分けが可能で、それぞれの属性に合わせて画像や記載内容を変更できます。選択/入力フォームの設置が可能なので双方向のコミュニケーションをWebで完結できるのです」
郵送DMなどでアンケートの回答や契約見直しを依頼する場合、受信者は通知内容を確認した後に用紙に記入したりWebサイトにアクセスしたりする必要がある。これに対しDXハガキであれば、DXハガキのインタフェースからそのままアンケートの回答や日程調整などに移れる。
「クレジットカード申し込み前のシミュレーションや車検予約日の確認・変更、住所変更の手続きなどにDXハガキを利用できます。受信者はURLを開いて操作するだけなので次の行為に移るハードルが低く、顧客満足度の向上が期待できるでしょう。企業にとっても案内業務や集計作業などの負担軽減につながります」
郵送DMでは計測が難しかった開封状況の把握もできる。コンテンツを開いた人数やボタンクリック数などの視聴レポート、受信者ごとのアクセスログや操作ログ、項目や曜日、属性別のデータを取得して、開封状況に基づいた効率的なアプローチができる。
「郵送DMでは受け取り側が内容を確認したかどうか判断できないため、『本当に送付する意味があるのか』と疑問を抱いている担当者も多いはずです。DXハガキであれば全受信者の操作ログからそれぞれが興味を示したポイントを把握できます。休眠顧客だと思われていたユーザーの行動から『内容を確認している』『この情報に興味がありそう』などが分かるため、より的確なフォローが可能になります」
架電業務とDXハガキを組み合わせれば、電話をかける前に送付して「先ほどSMSで送付した件です」と詳細を案内できる。電話をかけた後にフォームを設置したDXハガキを送付し、顧客に次の行動を促すことも可能だ。原氏は「架電後すぐに送付できるというメリットを生かし、コンタクトセンターなどの対応品質アンケートにも利用できます」と説明する。
DXハガキを導入する企業は、保険会社や自動車ディーラー、学習塾、インフラ・通信事業者など多岐にわたる。ある保険会社は、定期的な紙の通知物の代替としてDXハガキを活用し、顕著な成果を上げている。
「契約者の生活状況や保険に対するニーズの変化を迅速に把握し、対応したい」「送付した通知物を契約者が実際に読んだか確認したい」「通知業務のコスト削減を図りたい」という課題を解決すべくDXハガキを導入した結果、70%のコスト削減を実現した。また、契約者へのヒアリングや提案をDXハガキで対応したことで、ニーズをいち早くくみ取れるようになった。その結果、オプションや契約更新の成約数を向上させることができたという。
「DXハガキは単なるコスト削減ツールではなく、顧客とのコミュニケーションを深め、ビジネス成果を向上させる手段としても有効です」
パーソナライズや双方向性であれば、ランディングページ(LP)や各種サービスのマイページでカバーできるのではないか。その問いに原氏は「ページからの離脱が課題になる」と説明する。
「キャンペーン特設サイトなどのLPは不特定多数への情報発信には有効です。しかし一定のメッセージしか掲載できないためパーソナライズ性が低く、ページを読み進めずに離脱してしまう可能性があります。マイページはパーソナライズされた情報を掲載できますがアクセスにはIDやパスワードの入力が必須で、ログイン画面への遷移で離脱率が高くなる傾向があります」
DXハガキは特許を取得したセキュアなシステムを採用している。企業はKDDIに個人情報を渡す必要はなく、DXハガキに表示される個人情報やエンドユーザーが入力した内容はDXハガキの管理サーバには格納されない。セキュリティを担保しつつ、ユーザーに応じたサイトを即座に提供できる。
配信方法もシンプルだ。専用ページのベースとなる画像を準備し、KDDI Message Castの配信ツールで個別URLを生成してテキストとURLを入力するだけ。配信設定は約15分で完了する。
KDDI Message CastはSalesforceとの連携にも対応しており、Salesforceに登録された顧客情報を使ってDXハガキを送ることも可能だ。送信結果や開封状況などはDXハガキの管理ポータルで確認できる。
KDDIは「KDDI VISION 2030」として、「『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会を作る」をスローガンに掲げている。法人事業においては、2024年5月にAI時代のビジネスプラットフォーム「WAKONX」(ワコンクロス)を発表した。
WAKONXは、KDDI VISION 2030を実現するためのブランドであり、顧客の事業成長と社会課題解決に貢献する「3つの機能群」を有するAI時代のビジネスプラットフォームだ。
「WAKONXは、日本のビジネスのスピードアップを目的としています。さまざまな企業がSMS送信サービスを展開していますが、当社はKDDI Message Castを単なるSMS送信サービスではなく、携帯電話番号でできる『企業の課題解決手段の一つ』と捉えています。コミュニケーションを改革するものとして携帯電話番号は非常に強い存在です。当たり前のように感じるかもしれませんが、携帯電話番号さえあれば、通話のみならずテキストメッセージのやりとりもできます。
通信事業者である当社の強みは、SMSや通話、DXハガキなどのアセットを組み合わせて一気通貫で提案できる点です。SalesforceやIVR(Interactive Voice Response:音声自動応答システム)などの外部ツールと連携すればその可能性はさらに広がります。これからも企業のデジタル化を促進し、負担やコストの軽減、エンドユーザーの満足度向上に向けたお手伝いを続けていきます」
DXハガキの活用は、通知業務の課題解決のみならず顧客との新しい接点を持つきっかけにもなるはずだ。KDDIのさまざまなアセットを組み合わせればその効果はさらに大きくなるだろう。
DXハガキの利用にはKDDI Message Castへの登録が必要だ。SMS送信サービスの無料トライアル(最大2カ月3000通)も実施しているので、通知業務に課題がある企業は一度KDDIに相談してはいかがだろうか。
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提供:KDDI株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2024年9月25日