
リモートワークとオフィスワークを組み合わせたハイブリッドワークの導入など、私たちの働き方はここ数年で大きく様変わりした。それに合わせてオフィスレイアウトを見直したり、固定席を設けない「フリーアドレス制」の導入を検討したりする企業も多いだろう。このような取り組みは従業員のウェルビーイング向上に寄与する一方で、「誰がどこに座っているのか分からない」「座席管理ができない」といった課題がある。
そうした課題を解決するものとして注目を集めているのが、ソニーの座席管理ソリューション「SEATouch」(シータッチ)だ。座席に設置したカードにスマートフォンをタッチするだけで在席登録ができる。本記事では、オフィス移転のタイミングでSEATouchを導入した富士フイルムイメージングシステムズに、オフィス移転の背景やSEATouchの導入理由、その効果を聞いた。
富士フイルムグループの国内販売会社である富士フイルムイメージングシステムズは、デジタルカメラやレンズ、アクセサリーなどのコンシューマー向け製品からデジタルサイネージやファイル共有/送受信サービス、ICカードまで幅広く取り扱っている。同社は新しい働き方の推進を目指して複数あるオフィスの再整備を進めており、2023年11月に全事業部門を新しいオフィスに集約した。
富士フイルムイメージングシステムズの鎌田賢弥氏(経営企画部 総務人事部 総務グループ 兼 コーポレート管理部 ESGマネジメントアドバイザー)は「イノベーションが起こる環境を作りたかった」と移転の狙いを話す。
「富士フイルムイメージングシステムズは、富士フイルムグループのイメージング領域でさまざまな事業を行う複数の企業が統合して設立されました。そのため事業部ごとの拠点は異なり、従業員の交流もほとんどありませんでした。今回各事業部が培ってきた技術やノウハウを組み合わせて新しいイノベーションを創出する環境の構築を目指して複数の事業部が入居する新しいオフィスの在り方を検討し始めました」
従業員の交流を促すために、新しいオフィスは全ての事業部を1フロアに集約して全てのエリアを見通せるレイアウトとした。座席はフリーアドレスにした他、従業員向けのイベントを開催するなど交流を促す仕掛けを複数実施している。
「かつてはそれぞれの事業領域で、『上司と部下』『先輩と後輩』の関係の中で仕事をしていたような印象がありました。しかし今の時代は、部門を超えて役職や立場に関係なく対等な立場で意見を言い合える環境がふさわしいと考えています。総務部門としては、従業員が交流するきっかけとなる仕掛けを今後も用意したいと考えています」
フリーアドレスの導入に際して従業員から最初に上がった声は「誰がどこに座っているのか分からない」だった。その課題を解決するために取り入れたのがSEATouchだ。
「先行してフリーアドレス化していたグループ企業などに相談したところ、座席管理システムの導入を勧められました。幾つかの製品を試し、初期費用やランニングコスト、操作性などを考慮してソニーのSEATouchを選びました。追加料金なしで在席率データなどを確認できる点も評価できるポイントです」
SEATouchは、交通系ICカードや電子マネーなどに使われているソニーの非接触ICカード技術「FeliCa」(フェリカ)を活用したソリューションだ。座席に貼ってあるカードに自分のスマホをタッチ※し、画面に表示されるボタンをタップするだけで座席登録が完了する。専用アプリケーションをインストールする必要もない。誰がどこに座っているかといった在席状況は、PCやスマホですぐに確認できる。座席の予約機能も搭載している。
SEATouchの導入に当たって、管理者側の作業も「そこまで煩雑でないと感じている」と城内奈津子氏(経営企画部 総務人事部 総務グループ チーフ)は振り返る。
「導入前の基本的な作業は、管理者用画面で利用者を登録して、座席番号が記載されたICカードを座席に貼り付けるだけです。当社はカードをホルダーに入れて座席に貼り付けています。ブラウザベースのソリューションなので、従業員にアプリケーションのダウンロードを促したり管理したりする必要もありません」
同社は約400ある座席のうち350席ほどでSEATouchによる在席/退席登録と在席状況表示機能を使用している。今後はSEATouchの在席履歴情報を利用してオフィスの在席率やよく使われているエリアの分析などにより、オフィスの活性化検討などに活用する考えだ。
「新しいオフィスが稼働して約半年が経過し、従業員からオフィスに関する要望やアイデアが寄せられています。今後はSEATouchの履歴機能や座席使用率などを参考にして、従業員のコミュニケーションがより深まるオフィスレイアウトを検討したいと思っています。オフィスエリアの追加やレイアウトを変える際も、SEATouchのカードを貼り直すだけなので非常に便利です」(城内氏)
SEATouchの導入で、フリーアドレスの課題解決を進める同社。城内氏は「新しいオフィスは従業員にも好評だ。今後もSEATouchを活用して課題を解決していきたい」と笑顔を見せる。
「オフィス移転やフリーアドレスの導入に当たってペーパーレス化を進めたこともあって、効率的できれいなオフィスを保てています。SEATouch導入によって『周りに座っている人の名前が分かるようになって助かった』など、新たな交流のきっかけ作りにもなっているようです。SEATouchは直感的に使えるので、『使い方が分からない』という従業員からの問い合わせもありません。新しい活用方法を提案してくれる従業員も出てきました。働き方に関する考え方が少しずつ変化してきていると思います」
SEATouchが活躍する場面は座席管理にとどまらない。同社はその機能を避難訓練にも活用している。従来の避難訓練は、避難前に一人ずつ名前を記入して避難後に自分の名前にチェックを入れるというやり方だった。しかし、実際の災害発生時には全従業員が記名する余裕などなく、「誰がいて誰がいないか」を把握しにくいという課題があった。
有事の際に確実に従業員の数を把握できる実用的な方法がないかと探していたときに思い付いたのがSEATouchの利用だったと鎌田氏は振り返る。
「有事の際に避難場所でSEATouchを活用すれば、事前に取得しておいたオフィスでのSEATouchデータと突合することで逃げ遅れた人の有無を瞬時にデータ化することができます。同様の仕組みを社員証で行う場合はリーダーライターやPCを持ち出す必要がありますが、SEATouchを使う方法であればカード1枚あれば対応できます。名簿を印刷したり記入してもらったりする必要もありません。毎日使っているシステムを応用するだけなので、災害時も混乱せずに使えるはずです。災害に備えて管理しやすい方法を検証しています」
最後に鎌田氏は、働きやすい環境を整える上で大事にしていることを以下のように話した。
「従業員の働きやすさは総務部門が用意できるものです。課題を見つけて『総務が変えていく』というマインドを持って、『業務改革をなぜ行うべきか』を考え続けることが重要だと考えています。オフィス環境を改善する際は、他社の事例などを参考にしつつ、そのやり方を自社に置き換えて必要性を認識してみるのもよいでしょう。業務改革を通して従業員が働きやすくなれば、その先の社会への貢献にもつながるはずです」
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