エアウィーヴが“Futon”で海外へ、なぜ?(1/3 ページ)

» 2025年03月13日 16時00分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 アスリート御用達の寝具メーカーとして知られるエアウィーヴ(東京)は、3月下旬に米国に路面店を出店し、8年ぶりに米国市場に再進出する。日本人に比べて大きな体格の米国人向けに厚みや感触にこだわった高品質のマットレスに加え、ベッドの上に敷く“Futon”を展開しブランド認知を図る。直近の夏季五輪2大会の選手村に寝具を提供した経験に基づき、2028年のロサンゼルス五輪での提供もにらみ1号店をロス市内に開店する。

photo 米国向けの最上位モデルを紹介するエアウィーヴの高岡本州会長兼社長=12日、東京都千代田区

薄い高反発パッドで「失敗」

 同社のマットレスには、樹脂製の極細繊維を絡めて通気性と高い反発力を確保した「エアファイバー」という独自素材が使われているのが最大の特徴だ。優れた体圧の分散性や寝返りの打ちやすさを訴求し、「睡眠の質」の提供という新しい切り口で、07年に寝具市場に参入。アスリートを使った広告戦略も奏功し、機能性マットレスという新たな市場を形成した。

 米国に進出したのは15年。ニューヨークに店舗を構え、マットレスの上に敷く薄いパッドを中心に販売したが、思うように売り上げを伸ばせなかった。高岡本州会長兼社長は「当時は日本の商品をそのまま米国に持ち込んで販売したが、厚みがあって沈む感触のマットレスを好む米国人には受け入れられなかった」と振り返る。商品の輸送過程で半数以上が破損するなど物流網の課題も顕在化。17年に店舗を閉鎖した。

       1|2|3 次のページへ

copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.