X(旧ツイッター)を代替するサービスとして注目を集めた新しいSNS「Bluesky」(ブルースカイ)で、特定の意見や思想が増幅する「エコーチェンバー」が発生し、排他的な言論空間になってしまった―。そんな指摘が、アメリカのメディアや有識者、調査機関から相次いで公表されている。ブルースカイには、Xを所有する米実業家イーロン・マスク氏に対する不満などから、Xを離れて利用を始めた“進歩派”のユーザーが多い。ただ、利用者数は昨年11月のピーク時と比べ半減している。SNSに詳しい専門家は、これまで多様な意見が存在していたSNSから、一部の意見を持つ人々が新しいサービスに移動したことで思想的な断絶が起きていると指摘する。
ブルースカイには、トランプ米大統領やマスク氏に反発する米民主党支持者ら進歩的な人々が大量に流入した経緯がある。昨年11月、マスク氏が第2次トランプ政権の「政府効率化省(DOGE)」を率いることが明らかになると、ブルースカイでは同氏に不満を持つXのユーザーを中心に、1日に100万人規模で新規ユーザー登録があった。一時は、米国のアップルとグーグルのアプリランキングで無料部門の1位にもなった。現在、登録ユーザー数は全世界で約3600万人にまで増えている。
しかし、ブルースカイの利用状況などを集計するサイト「Jaz’s Bluesky index」のデータによると、最盛期に1日約148万人いた投稿者が、今月には70万人前後まで減少している。
米紙ワシントン・ポスト電子版は6月8日に掲載したコラムで、ブルースカイではユーザーが進歩的な意見を言わなければ反応を得にくく、進歩派に都合の悪い話をすれば反発や炎上など強烈な反応を招くエコーチェンバーが起きていると伝えた。
またコラムでは、米ペンシルベニア大学ウォートン校でAI(人工知能)を研究するイーサン・モリック教授の「(ブルースカイは)過度に緊張感に満ちている」とする投稿を引用。政治とは無関係のAIに関する議論であっても、ブルースカイでは激しい反応が起きていると指摘した。
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