備蓄米の価格に最大1400円差、なぜ? 米どころと輸送費の現実

» 2025年06月18日 19時01分 公開
[産経新聞]
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 米価高騰を抑制するため、政府が3月に放出を始めた備蓄米の店頭価格に地域差が出ている。コメの産地や備蓄米の倉庫が多い東日本は安く、輸送費用がかかる西日本は高くなる傾向が見られる。5月からは随意契約での備蓄米も店頭に並び始めたが、首都圏が中心だ。政府には備蓄米を安価に幅広く届け、早期に米価安定を図ることが求められる。

 農林水産省によると、6月11日時点の備蓄米の5キロ当たり店頭価格(銘柄米とのブレンド米を含む、税抜き)は、中央値の最高値が滋賀県の4380円、最安値が愛知県の2980円だった。差は1400円で、5日時点の1523円から縮まったが、依然として高水準だ。

 米どころや備蓄米倉庫の多い東日本で比較的安い地域が目立ち、北海道の中央値は3180円、秋田県は3480円だった。一方、備蓄米倉庫から遠く輸送に費用や時間がかかる西日本では高めの地域が多く見られ、大阪府が3899円、沖縄県は3680円だった。

 今回調査した備蓄米は競争入札で放出されたもので、随意契約分は含まれない。随意契約の備蓄米は5月末から2千円前後で店頭に出回っているが、首都圏での流通が中心で、取り扱いも大手の小売店が多く、まだ有意性のあるデータとしては扱えないためだという。

 政府は当初、備蓄米を競争入札で31万トン売り渡し、その後就任した小泉進次郎農水相が随意契約に切り替えて30万トンの放出を決めた。小泉氏は20万トンの追加放出も決定。安値のコメを全国に行き渡らせ、4千円を超える銘柄米を含めた平均価格をどれだけ早く引き下げられるかが焦点となる。(中村智隆)

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