大阪・関西万博の大屋根リングについて、日本国際博覧会協会(万博協会)は23日、関係機関との間で、一部保存の方針を確認した。世界最大の木造建築物として国内外の来場者から高く評価されているが、全部を保存するには巨額の費用がかかるため、見送られた。ただ一部保存であっても実現には複数のハードルが立ちはだかる。
「残置不可と判断した場合、協会は(リング)北東部約200メートルを解体撤去する」。万博協会の幹部は23日に開かれた関係機関との検討会後、リングの保存を巡る対応についてこう強調した。
検討会では、リングを一部保存する方針を確認したが、今後選定される会場跡地の開発事業者から条件に見合う提案が出なければ、保存しないとの姿勢を改めて強調した格好だ。
保存を巡る課題としては、まずカビ対策が挙げられる。
「すでにリングの端々は黒ずんでいる。防腐処理を行わなかったことで発生したカビだ」。木材業界の専門家はそう指摘する。実際、柱の断面などは真っ黒に変色している。
仮設建築物として建設されたリングは長期保存を前提としていない。防腐処理は、建設前に部材の段階で処理を行っていれば容易だったが、完成後に実施するには周辺に足場を組み、薬剤を注入するなど、相当な手間がかかるという。
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