児童相談所と警察の連携を支える 情報共有システム開発の軌跡目の前にある小さな命をいかに守るか

児童相談所は、業務負担の増大や専門人材の不足などによって職員の疲弊が深刻化しています。こうした課題は、子どもたちの安全確保に悪影響を及ぼす恐れがあります。このような課題にどう向き合えば子どもたちの安全を守れるのでしょうか。

PR/ITmedia
» 2026年03月23日 10時00分 公開
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 こども家庭庁の2026年1月の発表によると、令和6年(2024年)度に全国の児童相談所(以下、児相)が対応した児童虐待に関する相談件数は22万3691件に上りました。前年度より0.8%の減少となったものの、相談件数は統計が開始された平成2年(1990年)度以降ほぼ一貫して増加傾向にあり、今後も予断を許さない状況です。

※出典:こども家庭庁「令和6年度 児童相談所における児童虐待相談対応件数

 このような状況に児相では、虐待相談や対応に要する業務負担の増大や専門人材の不足などが生じ、職員の疲弊が深刻化しています。負担の一つとなる業務に、警察などの関連機関とメールや口頭でやりとりした内容をシステムに入力する作業があります。先のレポートが示すように、相談件数の増加によって入力作業に多くの労力がかかっています。

 そのため、情報共有にタイムラグが発生するほか、口頭連絡を全て書き取らなければならない高い難易度に加えて聞き間違いによる伝達ミスの恐れもあり、児相の職員には大きなプレッシャーがかかります。こうした課題は、子どもたちの安全確保に悪影響を及ぼす可能性があります。

 児相の職員や業務課題に向き合い、子どもをいかにして守るか――。NTTテクノクロスの問題意識と取り組みの現在地を紹介します。

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児相の真の課題に長年にわたって向き合い、業務の改善を支援

 児相には虐待や非行に関する通告や相談だけでなく、母子保健や育児、不登校や心身障害などさまざまな相談が寄せられます。この情報を基に相談員が親子と面談して適切な助言やサポートに入ります。

 その通告や相談件数は年々増加傾向にある一方、相談員の人数や時間は限られています。児相の本来の業務は家庭面談や子どもの支援ですが、その前後にも多くの業務があるため相談員は非常に多忙です。

 「専門資格を取得し高い志を持って仕事に就いても、長時間労働の常態化や理想と現実のギャップに悩んで職場を去る人も多いのが現状です。NTTテクノクロスはこれを社会問題の一つと捉え、児相の業務改善を長年にわたって支援してきました」と語るのは、同社の松田昌史氏です。

photo NTTテクノクロス 松田昌史氏(デジタルトランスフォーメーション事業部 第五ビジネスユニット アシスタントマネージャー)

 松田氏は大学院で社会心理学を専攻し、児童虐待に関する研究論文を発表しています。NTTテクノクロスは、松田氏のような専門人材を中心にチームを結成。児相の業務を深く理解することで、マクロ(社会課題)とミクロ(現場課題)の両面によるアプローチで課題解決に貢献しようとしています。

 その象徴的な取り組みが、江戸川区児童相談所への電話応対支援AIソリューション「ForeSight Voice Mining」(FSVM)の導入です。FSVMは、通話内容をAIによってリアルタイムでテキスト化します。PCの画面にはテキストとともに参照すべきマニュアルを自動で表示したり「虐待」「傷」「あざ」といった注意ワードをハイライト表示したりすることで、職員の電話応対をアシストします。

 「児相の職員は記録業務に日々追われており、本来の業務である面談や親子のサポートに支障が出ていました。FSVMの導入によって電話応対のスピードアップと記録作成時間の短縮を実現し、職員の負担軽減に大きく貢献しました」とNTTテクノクロスの波連新氏は説明します。

 FSVMの導入により電話応対や記録業務の工数を軽減して効率化を実現した実績には、全国の児相から関心が寄せられ、多くの児相への導入が進みました。

photo NTTテクノクロス 波連新氏(デジタルトランスフォーメーション事業部 第五ビジネスユニット 営業担当)

次なる課題「児相と警察との情報連携に潜む“運用のすきま”」

 NTTテクノクロスの専門チームは、FSVM導入後も児相の職員と対話を重ね、児相の課題をヒアリングして課題解決に向けた提案を続けました。

 さらなる改善に向けて着目したのが、警察などとの情報連携のシステム化です。先のこども家庭庁の報告によれば、児相に寄せられる相談経路で最も多いのが警察などの機関で、全国で年間11万件以上(全体の51.7%)にのぼります。

 通告や相談の中でも虐待に関するものは緊急度が高く、警察との連携による対応が欠かせません。NTTテクノクロスの下田茜子氏は次のように話します。

 「1人で泣いている子どもを公園で見かけた場合、家まですぐに送り届けることが最善とは限りません。家庭で虐待を受けている可能性もあります。その場合は、子どもを家に帰さず緊急避難的に保護しなければなりません。警察が子どもを発見した時に児相の対応記録を適切に照会できれば、迅速で的確な対応が可能になります」

photo NTTテクノクロス 下田茜子氏(デジタルトランスフォーメーション事業部 第五ビジネスユニット 営業担当)

児相と警察をつなぐ新システムがスタート

 適時・適切な情報の共有、簡易なオペレーションでそれを「仕組み化」する。松田氏たちは、児相にある既存のシステムから抽出した情報を、必要に応じて他機関と共有する「intra-mart 自治体様向け情報共有システム」を開発しました。

photo intra-mart 自治体様向け情報共有システムの連携イメージ。児相が登録した児童情報などは、1時間以内に情報共有システムに反映。警察はPCで最新の児童記録を照会できる(提供:NTTテクノクロス)《クリックで拡大》

 「警察からの照会に対して児相側でシステムを検索すれば、当該児童の記録をすぐに抽出できます。検索結果をシステムで警察と共有する仕組みです」と松田氏は説明します。

 児童虐待などの周辺問題を研究してきた松田氏は、「通告、照会、保護のオペレーションで何が“本当に”ボトルネックになるかを言語化し、照会理由のパターン化や共有の監査性などを検討段階から提案しました。『対応記録をデータ化して蓄積すれば、各機関との連携は仕組みで担保できる』という仮説を検証し続けて情報共有に関する設計を進めてきました」と振り返ります。

 児相が安全確認や一時保護をする際に危険が予測される場合、警察に立ち会いを求める「援助依頼」や立ち入り調査が拒否された場合に当該保護者を告発する「告発状」などのテンプレートが用意されているため、必要な書類も簡単に作成できます。

児相のDXプロジェクトを支えるNTTテクノクロスの“強み”

 intra-mart 自治体様向け情報共有システムは、対応が急務になっている自治体への導入が決まり、プロジェクトが進行中です。これには幅広いシステム構築経験や業務DXのノウハウ、児相業務に長く並走してきた経験と現場知識が生かされています。

 「児相の業務は法令や省令などで定められていますが、その変更によって各種情報の保持期限や書類様式などが変わることがあります。intra-martのローコード開発機能を使えば、そうした変更にも迅速に対応可能です。intra-martは大企業の基幹システムにも多数採用されています。機能性に優れているのはもちろん、信頼性や安定性も非常に高く、極めてセンシティブな情報を扱う児相業務にも安心して利用できます」(下田氏)

 波連氏は「児相が連携する機関は警察にとどまらず、さらに多様な関係先との情報共有が求められます」と今後の展開を語ります。

 「今後、児相の連携先は、児童養護施設や児童自立支援施設、学校、幼稚園、保育所、教育相談所、保健所など多様な機関との情報共有が求められる局面が増えるでしょう。intra-mart 自治体様向け情報共有システムは、共有先の拡大やそれに伴う業務変更、追加にも柔軟に対応します。この仕組みを広めていくことで、子どもを守るための連携を社会に根付かせたいです」

photo 情報共有システムの強みと今後の可能性。intra-martのローコード開発機能を生かして連携先の追加にも柔軟に短期間、低コストで対応できる(提供:NTTテクノクロス)《クリックで拡大》

 NTTテクノクロスは今後も児相や自治体に寄り添い、これまでの経験と蓄積したノウハウを生かして社会課題の解決に向けた取り組みを支援する方針です。

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※この記事は、NTTテクノクロスより提供された記事をITmedia ビジネスオンライン編集部で一部編集したものです。

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