万博の熱気、経済に届かず 沖縄との差が示す“地域格差”のいま(3/3 ページ)
2025年大阪・関西万博が開催中にもかかわらず、近畿は景況感の盛り上がりがいま一つ−。こんな実態が内閣府の5月の景気ウォッチャー調査で浮き彫りになった。
一方、沖縄はここ半年をみると一貫して50を上回って推移。4、5月は、2カ月連続で前月比でプラスとなった。
ニッセイ基礎研の佐藤氏は、トランプ関税への懸念の和らぎや訪日客の回復などに加え、沖縄本島北部で計画されているジャングリア沖縄への期待があると考える。
「Power Vacance!!(パワーバカンス)」がコンセプトのジャングリアは、世界自然遺産「やんばる」に近く、広大な森林と最新技術を融合させた自然体験型テーマパーク。
森の中でリアルな恐竜ロボットに遭遇したり、大型気球に乗って絶景を楽しんだりできる20以上のアトラクションや飲食・物販店もそろえる。総面積は、東京ドーム約13個分に相当する約60ヘクタールに達する。
5月の調査では、現状判断指数にジャングリア沖縄に関するコメントは出てこないが、2、3カ月先の見通しを示す「先行き判断指数」には多くのコメントが出てくる。
たとえば「夏休み期間の観光需要が見込まれることに加えて、大型レジャー施設の開業を迎えているため、2〜3カ月後の景気はやや良くなるとみている」「大型レジャー施設の開業で沖縄が更に注目され、観光客が増えるとみている」など。佐藤氏は「先行き判断指数での期待が、現状判断指数にも影響している」とみる。
コンテンツの魅力に加え、近畿よりコンパクトな沖縄では、一つの巨大テーマパークの存在感が大きいともみられる。
万博の効果がなかなか行き渡らない近畿。これから書き入れ時の夏休みシーズンを迎えるが、会場への集客だけでなく、魅力的なコンテンツで近畿各地に観光客を呼び込む取り組みを急ぐ必要がある。(山口暢彦)
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