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セブン&アイ、単独路線に転換 株価急落で問われる中計の実行力(1/2 ページ)

カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールがセブン&アイ・ホールディングスに対する買収案を撤回し、約1年続いた両社の攻防は節目を迎えた。

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産経新聞

 カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールがセブン&アイ・ホールディングスに対する買収案を撤回し、約1年続いた両社の攻防は節目を迎えた。セブンは今後、単独での成長を模索するが、17日の東京株式市場では株価が前日終値から一時9.6%下落するなど、投資家の視線は厳しい。グループ再編を通じコンビニに専業化を進める中、8月に発表する新たな中期経営計画で、企業価値向上の具体策を打ち出せるかが問われている。

単独での成長に意欲

 セブンは17日、クシュタールの買収撤回の発表を受け、「主要事業の業績の早急な改善に向けた取り組みにも引き続き注力する」とのコメントを発表し、単独路線での成長に強い意欲を示した。

 もっとも、物価高などの影響で足元の経営環境は厳しい。セブンが10日発表した2025年3〜5月期連結決算では、主力の国内コンビニ事業は本業のもうけを示す営業利益が前年同期比11.0%減の545億円だった。売上高にあたる営業収益も前年同期を下回った。海外コンビニ事業は増収増益だが、既存店の売上高が伸び悩み、営業収益は計画を下回った。

 グループ全体の純利益は前年同期比約2.3倍の490億円だったが、傘下のスーパー、イトーヨーカ堂の店舗など資産売却益が一時的に利益を押し上げたに過ぎない。流通業界に詳しい日本経済大の西村尚純教授は「セブンが重視してきた変化対応力(競合他社との競争力)が落ちている」と分析する。

 今後は、スティーブン・ヘイズ・デイカス社長の新体制で初めて発表される中期経営計画が焦点になる。同社は傘下のスーパーや銀行といった非コンビニ事業を売却を進め、コンビニ事業に専念して経営資源を集中する方針を打ち出している。中長期的な成長に向けた具体的な道筋を示すことが求められる。

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