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エレベーター事故の陰に“コスト削減” 点検1万円台の落とし穴(1/5 ページ)

エレベーターでの死傷事故が相次いでいる。業界関係者は「安全のために費用と時間にゆとりが必要だ」と警鐘を鳴らす。

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産経新聞

 エレベーターでの死傷事故が相次いでいる。昨年1月の仙台市のマンションでの事故は、部品の交換が適切に行われていなかったことが原因だった。エレベーターは費用の問題から部分的に補修されるケースが多く、新旧が混在している装置や部品の情報を作業員がすべて把握するのは困難な上、中小の保守・点検会社では競争の激化で十分な作業時間が取れないことも多い。業界関係者は「安全のために費用と時間にゆとりが必要だ」と警鐘を鳴らす。

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故障したエレベーターの応急措置をとる作業員ら。エレベーターの点検・保守には課題も多い=2022年12月、東京都港区

耐用年数大幅に過ぎ故障

 国土交通省の報告書によると、仙台市の事故ではエレベーターが1階に到着して扉が開いた直後、人が乗る「かご」が急上昇して女性2人が天井に衝突し重傷を負った。ブレーキのスイッチがメイン、予備ともに耐用年数を大幅に過ぎ故障したことが原因だった。製造業者の誤認でメインスイッチの交換目安が示されておらず、保守点検業者は予備の交換が必要なことを把握できていなかった。

 このほか、今年2月に神戸市の商業ビルでかごが上下する空間の底で男性が倒れているのが見つかり死亡が確認されたほか、4月には千葉県で点検作業中の男性がかごに体を挟まれて死亡するなど、エレベーターを巡る事故が目立っている。

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