地方では「消滅」相次ぐ
訪日需要の恩恵や外商顧客など富裕層の少ない地方百貨店の閉店が相次いでいる。日本百貨店協会によると2008年に全国で280店舗あった百貨店は、特に地方での閉店が加速したことで24年には178店舗と約4割減少した。
昨年は一畑百貨店(島根県松江市)が1月、岐阜高島屋(岐阜市)が7月に閉店。これにより山形県、徳島県に続き、島根県、岐阜県と4県で百貨店が消滅し、1店舗しかない「空白県」予備軍も全国で10県を超える。
地方百貨店の多くは築40年を経過しているが、建て替えや改修への投資に採算性を見いだせず撤退が続くとみられ、SOMPOインスティチュート・プラスの小池理人(まさと)上級研究員は「今後も地方の百貨店ビジネスは加速度的に厳しくなる」とみる。
一方、23年1月に東急百貨店本店(東京都渋谷区)が閉店し、名古屋駅直結の名鉄百貨店本店(名古屋市)も26年2月末の営業終了を発表するなど都市部でも閉店は少なくない。富裕層や訪日客を取り込めるのは都市部でも一部店舗に限られるためだ。ネット通販の普及などにより消費行動も多様化しており、小池氏は「買い物客が多い都市部でも脱百貨店の動きが進む」と指摘する。
copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.
関連記事
「廃虚アウトレット」の乱立、なぜ起こる? 絶好調なモールの裏で、二極化が進むワケ
業績を大きく伸ばすアウトレットがある一方で、ほとんど人も来ず、空きテナントだらけのアウトレットが増えている。その原因は何なのか?
「イオンモール」10年後はどうなる? 空き店舗が増える中で、気になる「3つ」の新モール
かつて「街のにぎわいの中心地」ともいわれたイオンモールでも、近年は「安泰」ではない状況になっている。少子化が進む日本で大型ショッピングセンターが生き残る鍵は――。