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パーティーを2倍楽しむ、とっておきの社交術
ひと声かける勇気が、世界を広げる

 ホテル業界誌の出版を中心に、コンサルティングやコーディネート業など、 “旅・食・ホスピタリティ”への究極の美意識を追究し、多岐に渡る事業を行っているオータパブリケイションズ(http://www.ohtapub.co.jp/)。

 代表取締役の太田進社長は、ある時は招待客、またある時はコーディネーターとして、華やかなパーティーに日々関わり続けている“達人”である。1晩で数百万〜1千万円以上(!)の寄付金が集まる、アッパークラスのチャリティパーティーのコーディネートを引き受けることも珍しくないそうだ。

太田進社長

 「パーティーの雰囲気は、出席してみるまでわからないものですよね。楽しめないパーティーというのは、まず主催者側のホスピタリティに原因がある。招待客のリストを作って、どんな方々が招かれているかを明確にし、良い縁が生まれそうな方同士を紹介したり、アトラクションの企画や、プレゼントを用意するなど、招待した方みなさんに楽しんで頂くという心がけが大切です。

 せっかくですから、壁の花でいたり、知っている顔同士だけで固まるよりも、ぜひ様々な出逢いをつかんでいって欲しい。僕自身、ずっと憧れていたミュージシャンや、テレビでしかお顔を拝めなかったようなビッグネームの方と、パーティーが縁で友人になったり、ビジネスに繋がったケースがたくさんあるんです!」

 とはいえ、見知らぬ人に声をかけるのは、なかなか勇気がいるもの。きらびやかな夜を思いっきり楽しみ、ビギナーにもすぐに実行できる、太田社長流の楽しみ術を次の表にまとめてみたので、ぜひご覧あれ。

太田社長流・パーティー楽しみ術

1 服装を整える
人の第1印象は3秒で決まる!といっても過言ではない。
ビギナーには、派手になりすぎずカジュアルにもなりすぎない、グレー、ネイビーのコンサバスーツがオススメ。

2 小物できっかけ作り
大勢が集まる空間で会話を始めるためには、個性的なアクセサリーや、異業種交流会用の別名刺など、会話のきっかけになりやすいユニークなものを携帯していこう。和装で光るという上級テクも。

カフリング

3 人の動きを観察する
会場に入場した時、またはドリンクや料理を取りながら、さりげなくゲストの動きを観察する。会場内でキラキラしている人、笑い声に囲まれている人がいたら輪に入ろう。

4 “話しかけやすい”隙をつくる
ドリンクコーナーでサービスマンと話していると、自然と会話に入ってくるゲストもいる。“話しかけやすい”隙をつくることも大切。

5 “自分と同じ匂い”を嗅ぎ分ける
タバコを吸う人なら喫煙所で会話が始まることが多い。同様に同じブランドの小物をつけている人に話しかけた方が、盛り上がる可能性が高い! ここで、事前に仕込んでおいた小物が実力を発揮するのだ。

6 自分のPRポイントを明確にする
日頃から自分の得意分野を意識し、情報を集めておこう。たとえば、
・時事ネタがすぐに出せる
・ライブチケットが取れる
・レストランの食べ歩きに詳しい
など、自分の強みを相手に印象づけることが出来れば、人脈が広がりやすい。

 さすが、究極のホスピタリティを追究しているだけに、取材者の我々に快く心得を伝授してくださった太田社長。そんな氏にも、ビギナー時代があったのだそう。

 「28歳の時、モナコのモンテカルロで、世界の名だたる成功者が集うラグジュアリーパーティーに背伸びをして出席したんです。全身に衝撃が走りましたよ。周りは人生を謳歌している、年輩の真の成功者ばかり。オートクチュール仕立てのドレスやタキシードに、先祖代々伝わる値段のつけられないハイジュエリーを身につけている。目一杯ドレストアップしていったつもりなのに、もう全然レベルが違う。しまった、えらいところに来てしまったと冷や汗が出ましたよ。
 ああいった場では、日本人である自分は和装で行くべきでしたね。ヨーロッパのセレブの土壌に上ろうとしたから、居場所のない思いをしてしまった。けれど、それもまた勉強になりましたし、『よし、頑張ろう!』と、モチベーションアップにもつながりました。どんな経験も自分の実になります。背伸びをすることだって大切です。せっかく誘いを受けたなら、目一杯オシャレして、とにかくチャレンジしてみて欲しい」

 パーティーは、普段の人間関係から少し足を伸ばして新しい空気を吸い、自身の感動を引き出す宝の山である。以上の心得を胸に刻み、ばっちりファッションをキメたら、さあ!パーティーに繰りだそう。人生の1ページが劇的に変わる、そんな出逢いがあなたを待っているかもしれない!

太田進

米国ニューヨークの世界的な料理学校CIA(カリナリー・インスティテュート・オブ・アメリカ)を卒業後、米国の著名なホテルやレストランで経験を積む。また、スイスのベルンにあるベルビューパレスや、東京ヒルトン、マキシム・ド・パリなどでも、ホテル・レストランの現場体験を積み重ねる。

「週刊ホテルレストラン」

「週刊ホテルレストラン」

1966年創刊以来41年の歴史を有する日本で唯一のホテル・レストラン業界の経営情報誌。太田社長いわく「日本で一番高価な週刊誌です(笑)」

「リッツ・カールトン20の秘密」

「リッツ・カールトン20の秘密」(井上富紀子×リコ・ドゥブランク)

高級なだけではなく“特別なホテル”として広く知られるリッツ・カールトンを語る上で、最も重要な20のキーワードを、ゲストとホテルの両サイドから紹介することで、その秘密を説き明かす。アマゾンの本部門で、ベストセラー1位を獲得! 一流のクレド(信条)から、社交術に学ぶものも多い。1575円

取材・文/華麗叫子
企画・構成/似鳥陽子