
“シャンパン”という言葉を聞くと、以前はバブリーなイメージが連想されたものだが、最近はシャンパン・バーの流行や、グラスでサーブするレストランなども増えて、ずいぶん敷居が低くなってきたように感じる方も多いのではないだろうか。 5000以上のメーカーが名を連ねるCIVC(シャンパーニュ地方ワイン生産同業委員会)が発行しているデータによれば、シャンパンの全世界向けの出荷量はここ5年間連続で増加しており、2006年は、1999年の3億2700万本に次ぐ史上2番目に高い数字の3億2170万本となっている。日本市場への出荷量も800万本を超え、前年比34.9%増という数字が、シャンパンの高い人気とブームの本格化を物語っているといえよう。 |
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「シャンパン」「シャンペン」「シャンパーニュ」など、さまざまな呼び方をされているが、正式な呼称はフランス語の「Champagne (シャンパーニュ)」。フランスのシャンパーニュ地方で作られたスパークリング・ワインだけに与えられ、同国のAOC(原産地名称制度)により、栽培品種や製造方法など、厳しいルールにのっとって生産されている。ほかに、巷で“泡モノ”と呼ばれているワインにはスペインのカバ、イタリアのスプマンテ、ドイツのゼクトなどがあるが、これらはあくまで“スパークリング・ワイン”であり、シャンパンとは別物である。 |
販売店で購入しても、1本5000円は下らない値段のシャンパンだが、高価になってしまうのには理由がある。 まずは、多くの葡萄からわずかな本数しか作ることができない。収穫時期の秋に手作業で摘まれた葡萄は、すぐにプレスされてジュースになる。しかし、4000キログラムの葡萄から搾ることのできるジュースは2550リットル。1本のシャンパンを造るためには1.2キログラムの葡萄が必要になるため、生産量はおのずと限られてきてしまう。また、独特の地質がもたらす味わいを持つシャンパーニュ地方の葡萄は、他地方のものより高価(たとえば、ロワールヴァンムスーの約8倍とも言われている)となり、原材料費も跳ね上がる。 収穫から製品になるまでの工程は10以上にものぼり、手作業も多い。シャンパンの最大の特徴である炭酸ガスは、この過程の中で瓶内に自然発酵したものである。この方式で醸造を行っているスパークリング・ワインは少数で、ほかの多くのメーカーは大きなタンクで2次発酵を行っていたり、炭酸ガスをあとから注入する方式をとっている。大変な労力と時間がかかるわけだが、これらすべての厳格な規定をクリアしていないとシャンパーニュとしての製品の許可を得ることはできない。 さらに、製品が出来てから熟成期間を置かねばならず、収穫から出荷まで、スタンダートクラスでも平均2〜3年、ビンテージなら5年、プレステージはおよそ7年以上の歳月を要してしまい、ますます希少価値が上がってしまうのである。 |
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こうした“シャンパーニュ製造事情”がわかると、高価な価格にも納得がいくのではないだろうか。華やかな開栓の音と泡に込められた職人の技術と苦労に想いを馳せれば、一層美味しさも増すというもの。レストランやバーなどでは「シャンパン」ではなく「シャンパーニュ」と呼ぶと、「知ってる男」としてちょっとクラスアップできるそう。ぜひ、お試しあれ! さて次は、プロに聞いた実際のシャンパンの選び方や楽しみ方を紹介しよう。 |
取材・文/似鳥 陽子
取材協力/(株)メルシャン
増竹ゆかり(CIVC公認・シャンパーニュコーディネーター)


