» 誠Style »

最新シネマ特集〜サッド・ムービー〜

だから今、大好きな人に気持ちを伝えよう

後悔先に立たず、とはよくいったものだと思う。ついつい飲みすぎて翌朝悔やむといったものから、仕事のちょっとした手違いから発生したミス、ふとした一言から行き違ってしまう心…。後悔をしながらも、必ず次の日は誰にも訪れ、それを無理やりにでも乗り越えて進んでいかなければならない。

しかし、「次の日」が訪れないこともある。後悔を取り戻すための努力をしたくてもできない、別れ。そんな瞬間をつむいだのがこの『SadMovie』だ。
この連載ではこれまでに9本の映画を紹介してきているが、うち3本が韓国映画で、どれも筆者にとっては涙なしでは見られない作品だった。扱うテーマもテイストも違えども、感情をむき出しにして泣くシーンが他の国の作品よりも韓国映画は多いような気がする。その韓国から、タイトルからして「悲しい映画」というものがやってきたのだから、非常に涙もろい筆者が泣かないわけがないのだが。

主人公は、普通に暮らす様々な世代の8人。
●恋愛には不器用だけど、誠実な消防士と恋人のアナウンサー。幸せを感じながらも、彼の命を賭けた仕事ぶりに日々不安を彼女は覚えている。
●彼だけでなく、自分の将来にも不安を覚え別れを決意する女性と彼女の心を取り戻そうと「別れさせ屋」を開業する青年。
●癌に侵されたキャリアウーマンの女性と、彼女の小さな息子。病気になったことで、母親との時間が増え、息子は喜ぶが…。
●着ぐるみのアルバイトをする難聴の女性と彼女のことが気になる絵描きの青年。彼女には、着ぐるみを脱いで彼と向き合う勇気を持てない理由があった。
8人のそれぞれの別れのストーリーが重なり合い、明日へ向かっていく。

この世の中でいつもどこかで起きている様々な「別れ」。この8人の誰かの言葉に心の奥底に秘めた気持ちを起こされてしまうだろう。でも、それは受け入れて欲しい。泣くことを前提に劇場にいって、思う存分泣いて欲しい。きっと隣の誰かも同じ気持ちのはずだ。

SadMovie サッド・ムービー

2005年/韓国/109分
監督:クォン・ジョングァン
出演:チョン・ウソン、イム・スジョン、チャ・テヒョン、イ・ギウ、シン・ミナ、ヨム・ジョンア、ソン・テヨン、ヨン・ジング
配給:ギャガ・コミュニケーションズ powered by ヒューマックスシネマ

11月11日(土) 有楽座ほか全国東宝洋画系にてロードショー
(C)2005 i Love Cinema Co., Ltd. All rights Reserved

筆者プロフィール
北本祐子
+Dstyle編集担当。
雑誌編集畑から異動によりインターネットの世界にデビュー。
映画は本数よりも、好きな作品を何度も見る派。それでも、年間鑑賞作品数はDVDを入れると200本ぐらい。3度の飯もお酒も好きだけど、甘いものがもっと好き。会社の近くのパティスリー・サダハル・アオキのスイーツを食べ尽くすのが目下の目標。




「最新シネマ情報」バックナンバー