焼酎ぐびなび
第五回 宮崎料理を食べながら、宮崎焼酎16種類飲み倒し!
今回のテーマは「宮崎」! 芋焼酎といえば「鹿児島」のイメージがとても強いが、宮崎の芋焼酎は宮崎の焼酎ならではの「優しい味わい」があると思う。また芋焼酎以外の原材料をつかった焼酎も多く、麦、米、そば焼酎も数々の銘酒がある。 |
というわけで、今回訪れたのは、渋谷区神泉にある『たもいやんせ』(都城の言葉で「めしあがれ」という意味)。宮崎出身の四宮(しのみや)さんが店長で、焼酎も食べ物もまさに宮崎の味。特に日南方面のものが多い。著者自身、オープン当初から何年間も利用させてもらっている店だ。ここの名物をそれぞれつまみながら、非常にたくさん揃っている宮崎の焼酎を堪能しようという趣向だ。
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まずは下記のラインナップを4種類。宮崎ならではの20度の焼酎で揃えた。焼酎は鹿児島をはじめ、アルコール度数25度というのがオーソドックスだが、宮崎の焼酎は20度のものが多い。これには諸説あるらしい。戦後に密造酒が猛威を振るった時に、蔵がそれに対し酒税の低い20度にして、安い値段で焼酎を販売したことの名残りとか、宮崎では焼酎を割らずにストレートで飲むことが多かったので20度のほうが飲みやすいからなど、いろいろ言われている。 |
『松露(しょうろ)』(松露酒造)。癖はあまりないが、芋焼酎の独特の華やかさがある。 |
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上記の4種類を、この店に来た際には欠かせない「煮玉」と「かつをのタタキ」と一緒にいただく。「煮玉」は甘からい汁の味がしっかりとしみこんでいるにも関わらず、中身はトローリ半熟になっている。「かつを」は日南市の外浦(とのうら)から直送しているもの。しっかりとした魚自体の旨味がなんともいえない。刺身もとてもうまく、絶対に外せない一品だ。 |
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さて、続いて芋焼酎を4種類。 |
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どんどん酒も進むが料理も進む。ここで、この店の名物!「黒豚の海塩焼き」が出てくる。都城の黒豚を塩でじっくり焼いたものだ。これをゆずごしょうでいただく。まさに絶妙の塩加減。さらにこってりとあばらの軟骨を2日かけて煮込んだ「とんこつ煮」、そして宮崎地鶏のレバーを使い、卵でとじた「レバニラ炒め」と、肉のオンパレード。味付けはしっかりしているのに、まったく厭味がない。さらに「飫肥天(おびてん)」をいただく。こちらはトビウオのすり身に焼酎と黒糖を隠し味にして揚げたもので、ほのかな甘みが芋焼酎にピッタリだ。 |
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さらに4種類ロックでいただく。 |
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いよいよ、ゴールが見えてきた(?)ということで、なかなか他では見られない、プルプルとした食感が特徴の「むかでのりの味噌漬け」や、「冷や汁」などをいただく。ここの冷や汁はゴマがとてもきいていて、氷でとても冷え冷えーな汁と、あったかーいご飯のギャップが素晴らし、東京で食べた冷や汁の中ではもっとも印象的だ。温度が混ざらないうちに、一気に流し込むように食べるのが、美味しい食べ方だろう。 |
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最後にシメということで原酒系を4種類。 |
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…というわけで16種類すべてを味わったのだが、全体的にはやはり宮崎の芋焼酎は、やさしく、繊細な味のものが多い気がする。鹿児島の芋焼酎の「男らしさ」とはちょっと違った味わいだ。 また、この日はちょうど『松の露』の松の露酒造の安藤さんと、『飫肥杉』の井上酒造の村中さんが東京にいらっしゃっていて、店に顔を出していた。どちらも非常に好きな銘柄なので、日ごろの感謝をこめつつ挨拶させていただいた。 |
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筆者紹介
橋本 裕之(ハシモト ヒロユキ)
有限会社デジほん社長 SSI認定焼酎アドバイザー。
株式会社ダイヤモンド社で編集者として『旨い!本格焼酎』(著・山同敦子)の企画、編集などに携わる。また、モバイルサイト情報誌『iして! ケータイサイトの歩き方』の編集統括を務めた以降はモバイル業界に関わるようになり、株式会社ドワンゴを経て、2005年6月に独立し有限会社デジほんを設立。デジタル、アナログを問わず、コンテンツを広くプロデュース、運用している。最近ではスケート界の裏を深くえぐった『愛するスケートに何が起こったのか?』(著・渡部絵美)を手がけている。
http://www.digifon.jp/
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