快楽旅団

快楽旅団もいよいよ10回目。
今回は一番思い入れのある場所を紹介したい。

みなさんにとって好きな都市はどこだろう？
ローマ？ パリ？ 香港？ シドニー？
自分はニューヨーク・マンハッタンにつきる。
といっても20代になるまで海外といえばヨーロッパ圏で過ごした自分にとって、アメリカは、嫌悪しか抱かせない国だった。合理主義で大量生産のイメージ。
それが一転、好きな都市（国は今でもあまり好きじゃないけど……）になってしまったのはなぜだろう？

■食わず嫌いのアメリカ？
僕が初めてのアメリカの地を踏んだのは、成人式も済ませた頃。
パーソンズという大学に短期講習を受けるためにニューヨークに行く機会を得た。
今から15年以上前、当時のニューヨークといえば、人種のるつぼ、摩天楼そして犯罪の多い街。
映画やテレビに見たステレオタイプなイメージそのままだった。しかし嫌悪したはずのアメリカがどこかに消えてしまい、すっかりニューヨークの魅力にハマってしまった。これもひとえにニューヨークという街そしてそこに住む人々に洗礼を受けたのに他ならない。
世界中から野望を持って多くの若者が集まる。もちろん若者だけではない。
何かこの街にはある！ と思い多くの野望を持った人々が集まる。
切磋琢磨して生きていく街。自分の日常とちゃんと向かいあうことが必要なことを教えてくれる街なのである。自分に厳しく他人にも愛情を持って厳しく（つまり優しい）街が自分には心地良かった。
それから仕事やプライベートでも人生の岐路ごとに幾度となく訪れている。毎回新たな発見や刺激が多く、まさしくニューヨーク中毒である。実際に法人（結局LAになったが……）の立上げで生活してみたり、学校に通学して思うのは、旅以上に生活という場所が良く似合う場所だからである。
今年は、映像製作に関わる人間の視点で街を切り取ることをテーマに2週間ほどニューヨークに滞在した。やはり映画、テレビ、グラフィックなど映像に関するクリエイターの人たちにとって、環境が整っているこの地は、住みやすい街ではないだろうか？
それをいくつか綴ってみようと思う。

■ニューヨークへ舞い戻る
夕方の飛行機でニューヨークへ向う。13時間の長旅に備え今回はビジネスシートで。でもフルフラットシートにする事無く、そのポジションのままニューアーク空港に着く。徹夜のおかげで爆睡、気づけば、NY。しかし、あいにくの曇天。新聞には「１週間雨です……」。いきなりの仕打ちがこれだ。街並みを写真で切り取ろういう企みも簡単に崩れ去ってしまった。「晴れ男」の名に恥じぬように何とか明日より快晴にしようと心に誓う。最初の買い物は折り畳み傘。なんか先が思いやられる……。
1年ぶりのNYは、あまりにも無常だった……。
ニュージャージーの対岸からマンハッタンの摩天楼が顔を覗かすと「ニューヨークに帰ってきた」と安堵に包まれる。この地は、僕にとってパワースポットなのである。

チェックインを済ませ、最寄りのコリアンタウンに夕食をとりに行く。
日本人観光客目当ての「ヤキニク　アリ　マ　シ」看板の間を抜けて、定番「Gam Mee Ok Restaurant」という韓国家庭料理店へ。
おしゃれな内装で価格も安い！
そこで壁に飾っている写真に値段が……。
NYでは、アートを身近に取り入れる事は特別な物ではないらしく、普通の店でも写真のコピーやシルクスクリーンを販売している。
「自分の良いものは良い。君の生活に取り入れてみないか？ 君がハッピーなら僕もハッピーだ」
ニューヨークに住む友人が口にする言葉だ。
そうニューヨークは厳しくて、優しい街なのだ。

<ロケ地：ニューヨーク>