Xマウントユーザー待望の超望遠ズーム――富士フイルム「XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR」:交換レンズ百景(1/2 ページ)
35mm判換算で152mmから609mm相当の画角をカバーする、超望遠ズームレンズが富士フイルムから登場した。Xマウントユーザーにとっては、長らく待ち望んだ望遠域の強化となる。テレコンバーターを使うと853mm相当にまで広がる超望遠の世界を楽しんだ。
ようやくこの時がやってきた。Xマウントユーザーの手に、超望遠ズームレンズが収まる日が。高性能で明るい単焦点レンズを多くラインアップする富士フイルムのXマウントだが、望遠域ははっきり言って手薄であった。「XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR」の35mm判換算で152mmから609mm相当の画角は、格段に表現の領域を拡げてくれることになるはずである。
XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WRは、EDレンズ5枚とスーパーEDレンズ1枚を含む14群21枚構成で、大幅に軸上色収差を封じ込めて超望遠ズームレンズとしてクラス最高レベルの描写を実現している。また超望遠域において必須となる手ブレ補正機能も5.0段分となる高い性能を誇り、手持ちであらゆる被写体に対応することが可能だ。「WR」の名が示すとおり防塵防滴耐低温構造を有していて、最前面レンズには汚れがつきにくく、もしついても簡単に拭き取れる「フッ素コーティング」を施している。スポーツはもちろんネイチャーフォトグラフィーにも安心のスペックだろう。
レンズの造りも非常にしっかりとしており、気になるがたつきも感じなかった。ズーム、フォーカス、絞りリングの使い勝手とトルク感も良好に思えた。X-T1に付けた印象も悪くない。フルサイズの70-200mm F2.8クラスを一回り大きくしたほどのサイズ感で、35mm判換算152mmから609mm相当を振り回せるのはとても魅力的だ。もしレンズとのバランスを重視するのであれば、「縦位置バッテリーグリップ VG-XT1」を装着したい。
付属のフードもロック機構つきで脱落しづらくなっており、偏光フィルター装着時に回転させて操作できるように、スライド式の操作窓が設けられている。「XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR」は脱着式のふたであったため紛失の心配があったが、本レンズはそれがないのが嬉しい。
描写も開放からなかなかのものだ。富士フイルムらしいキレ味とトーンを見せてくれる。動体もよほど高速に動くものでなければ、一眼レフと遜色のない食らいつきで合焦してくれるのが心強かった。またテレコンバーター「XF1.4X TC WR」にも対応しており、こちらを使用しての写りも満足のいくものであった。テレコン装着時は焦点距離140mm〜560mm(35mm判換算で213mm〜853mm相当)をカバーし、開放F値6.3〜8となる。Xマウントユーザー悲願の超望遠レンズは取り回しも写りも素晴らしいものであった。
撮影で訪れた長崎の街はランタンフェスティバルで盛り上がっていた。XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WRをX-T1に装着し、ランタンにフォーカスして雑踏をぼかしてみた。超望遠域ならではの遠近感の圧縮とボケを楽しめた。
疾走する長崎の路面電車をコンティニュアスAFで。この位の動体ならほぼパーフェクトにオートフォーカスは追従した。シャープな写りがいい感じ。
半島から対岸に発見した造船所をテレ端で。海上から沸き立つ水蒸気でクリアさこそやや失われたが、船体の描写はなかなか見事である。なによりも遠方の被写体をグッと引き寄せることができるのがXマウントユーザーなら嬉しいはず。
雨上がりに出現した巨大な虹。このレンズはしっかりとその色を再現してくれた。レンズもそれほど大きくないので、常に装着して持ち歩けるのがいい。被写体を発見してすぐカメラを向けられるからだ。
走行中のクルマの後部座席から、佐世保の自衛艦を狙った一枚。よく効く手ブレ補正機能のおかげで、「74」の文字がクッキリと写し取れた。光量が少ない場所での撮影でも超望遠域を楽しめそうな手ブレ補正の効き具合である。
各種リングもトルクが適切で、構図を決める時も絞り値を設定する時も確実に操作ができた。X-T1とのバランスは良好だが、よりマッチングを求めるのであれば縦位置バッテリーグリップ「VG-XT1」を装着するといいだろう。
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