Kindle Fire向けアプリの開発で注意すべきは? AmazonがFAQ公開
AmazonはKindle Fire向けAndroidアプリの開発で留意する点をまとめた開発者向けFAQを公開した。Android 2.3.4ベースで開発し、Google Mobile Servicesを利用しないことなどが求められる。
Amazonが満を持して発表した7型タブレット「Kindle Fire」。予約状況は過去に登場したどのAndroidタブレットより好調で、事前注文初日だけで9万5000台以上、その後も1日5万台のペースで注文があるという。
11月15日の出荷を前に、AmazonはKindle Fire向けAndroidアプリの開発で留意する点をまとめたアプリ開発者向けFAQを公開した。
Kindle FireはAndroidベースでAndroidアプリは基本的に動作するが、アプリはGoogleのAndroidマーケット経由ではなく、Amazonが独自に提供している「Amazon Appstore」経由でのみ入手できる。AndroidマーケットとAmazon Appstoreはまったくの別物で、後者でアプリを販売したい場合は、Amazon Appstore Developer Programに登録し、審査を受ける必要がある。
開発者向けに要点をまとめると、Kindle Fire向けAndroidアプリの開発で用いるSDKプラットフォームはAndroid 2.3.4。APIレベルはAndroid 2.3.3と同じ10だ。ジャイロセンサーや、カメラ、WAN、Bluetooth、マイク、GPSなどは搭載されていないので、これらの機能を用いるようなアプリは改修が必要。スクリーンサイズは600×1024ピクセルだが、20ピクセルをソフトキー表示用に確保する必要があるため、実際の表示可能領域は600×1004ピクセル(169dpi)となる。メモリは512Mバイトだ。
留意する必要があるクラスとしては以下のようなものが挙げられている。
Type | Descriptor | Comment |
---|---|---|
Sensors | android.hardware.sensor.accelerometer | accelerometer |
Sensors | android.hardware.sensor.light | light sensor |
Screen | android.hardware.screen.landscape | landscape mode |
Screen | android.hardware.screen.portrait | portrait mode |
Touchscreen | android.hardware.touchscreen | touchscreen capabilities |
Touchscreen | android.hardware.touchscreen.multitouch | two-point multi-touch capabilities |
Touchscreen | android.hardware.touchscreen.multitouch.distinct | track two points fully independently. |
USB | android.hardware.usb.accessory | device or app itself behave as a USB device(and connects to USB hosts) |
Wi-Fi | android.hardware.wifi | 802.11b/g networking |
なお、Googleの各種サービスと連携するGoogle Mobile Services(GMS)へのアクセスは推奨されていないので、例えば決済周りについても、Googleの提供しているアプリ内課金の仕組みは利用できない。決済システムについては、Amazonが現在βテスト中のものが利用できるとしているが、招待制が敷かれているため、アプリ内課金を想定したアプリが多数登場するのはもうしばらく時間が掛かるかもしれない。
開発者の中にはAndroid 3.0、あるいはAndroidの次バージョンとなるIce Cream Sandwichをターゲットにアプリを開発しているかもしれない。前者については恐らくKindle Fireでも動作するだろうとしているが、基本的には、Gingerbreadと後方互換性のあるAPIのみ用いるよう推奨されている。また、ルート権限が必要となるようなアプリは許可されていない。
基本的にはこれらに留意しつつ新規開発あるいは既存アプリの改修を図ることで、Kindle Fire上で動作するAndroidアプリは開発できる。すでにAmazon AppstoreでAndroidアプリをリリースしている場合は、Amazon側でKindle Fireで動作するか自動テストを行ってくれ、問題がある場合は通知される。
ちなみに、Amazonは、E InkベースのKindle向けアプリ開発環境として「Kindle Development Kit(KDK)」も用意しているが、KDKで開発されたアプリはKindle Fireでは動作しない。
Amazonでは、アプリの審査に通常1週間ほど掛かることもあり、開発者に早めの提出を呼び掛けている。
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