フォトフレームが見た電子書籍リーダーの夢――TRiFUN DPF-A8WM10WH:それゆけガジェット調査隊(1/2 ページ)
読書のスタイルは人それぞれだ。今回の「それゆけガジェット調査隊」では、「フォトフレーム」を電子書籍リーダーとして使うという、ひとつの考え方から学べることを示してみたい。
電子書籍リーダー端末に求められる機能は多い。表示パネルのサイズに表示品質、本体質量やバッテリー運用時間などの携帯性、通信端末としての機能や書籍データの検索・購入を含めた使い易さ、さらには縦書きや書体など日本語表示に関する細目。これらすべてを1台で満たそうとすれば必然的にコストは跳ね上がり、ユーザーの自由度も低下するものだ……。
と、前置きが長くなってしまったが、今回は「フォトフレーム」を電子書籍リーダーとして使うという、ひとつの考え方から学べることを示してみたい。扱うのは“1万円前後で購入できる”エレコムの「TRiFUN DPF-A8WM10」シリーズ。ここで紹介する内容はメーカーの想定外の使い方だが、ここには『工夫次第で快適』というDIY的な楽しさがある。
HD表示、8型ワイド液晶採用の新世代フォトフレーム
まず、DPF-A8WM10のどこが新しいのか? 最大のポイントは、フォトフレームに“携帯性”を取り込んだことである。卓上を飾るデジタル写真立て、として普及してきたフォトフレームの大半は、据え置き式で要電源接続だ。しかし、DPF-A8WM10は手に持って使うシーンを想定して作られており、充電式のバッテリーで動作する。その形状は、昨今のスレート状の端末と似ているといえば理解しやすいだろう。
HD品質(1280×720ピクセル)映像なども表示できる、1280×768ドットの8型ワイドカラー液晶の周りを薄い額縁(ベゼル)が取り巻き、一方の短辺には操作ボタンやスピーカーの開口部が見える。サイズは幅213×高さ134×厚さ14(ミリ)で質量はわずか380グラム、特に裏面がフラットなのが手に持ちやすい。
電源を入れると初期メニューを表示、左から「お気に入り」「エクスプローラー」「写真」「ムービー」「ミュージック」「電子ブック」「セットアップ」となっている。それぞれのアイコンを示すときに、データソースを4Gバイトの内蔵フラッシュメモリか側面のSDカードスロットに差し込んだメディア(32Gバイトまで)かを選択して各種データを表示。なお、側面にあるミニUSB-BポートはPCと接続して内蔵フラッシュメモリにアクセスするほか、付属ケーブルを用いてUSBメモリも接続できる。さらに、カードリーダーを接続するなどして別メディアの読み込みも可能だ(USBホスト機能)。
エクスプローラーではファイル選択により、拡張子から写真、動画、音楽を識別して再生。各モードでは再生可能なファイルを自動的にリスト化し、フォルダ階層ごとに再生していく。
特筆すべきmp4動画プレーヤーとしての快適さ
DPF-A8WM10が扱える(再生できる)データは次のようなものがある。
DPF-A8WM10で扱えるファイルフォーマット
静止画:JPEG(JPG)、BMP、PNG
動画:MPEG-1(mpg)、MPEG-4 AVC/H.264(mp4)、MotionJPEG(AVI)
音楽:MP3(mp3)、AAC(m4a)、PCM(wav)
文書:TEXT(txt)
マニュアルには、TS(MPEG2)やVOBなどの動画形式、APEやWMAなどの音楽形式にも対応すると記されている(なお、ピットレート240kbps以上のmp3データは再生できなかった)。
いろいろ試してみた。フォトフレームだけあって、液晶の発色もよく写真表示は美しい。拡大(ズーム)表示やBGM再生機能もあり、写真表示の基本機能だけでも十分な価値がある。写真を映していないときに表示する簡単なカレンダーや時計機能がほしいところだが、自動ページ送り機能(早・中・遅の3段階+指定間隔タイマー)を使って、1時間ごとに自分で作った時計画像などを表示させてもよいだろう。
音楽再生も、レベルメーター表示や優れた音響効果(クラッシック、ロック、ポップスなど)など、なかなか高機能。内蔵スピーカーの出力は“単なる音”のレベルだが、ヘッドフォンジャックからの出力はかなりの高音質で、思わず聞き惚れるほどだ。携帯音楽プレーヤーとしては大きく重いが、存在感があるため使い勝手は良好だ。カバンに放り込んで通勤・通学のお供にするのもいい。
続く動画再生だが、これには驚いた。CPUなどのスペックは明らかになっていないが、間違いなく動画表示処理専用のハードウェアコーデックを積んでいる。試しに、HDあるいはフルHD解像度のmp4動画を幾つか再生したところ、非常にスムーズに再生できた。
DPF-A8WM10には容量2800mAhのバッテリーが内蔵されており、静止画スライドショー連続表示で約3時間の再生が可能とある。
実際に、内蔵フラッシュメモリに入れた十数本のmp4動画を、繰り返し再生し続けたところ(バックライト輝度10段階中5、ヘッドフォン接続で適正音量に設定)、約3時間10分でバッテリーが切れ、自動でシャットダウンした。節電モード(バックライト減光)を活用すれば、利用時間はさらに延びるだろうが、これならちょっとした映画などの再生も十分耐えそうだ。
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