大日本印刷は11月25日、電子書籍にも対応した著作権契約の管理業務サポートサービスを発表、2012年3月までトライアル期間を設けて提供することを明らかにした。
同サービスは、出版社やメディア関連企業が管理する各種コンテンツの著作権契約の管理業務をサポートするASPサービスで、2010年に開発されたもの。各種コンテンツの著作権や原稿料などに関する契約をデータベース化し、契約に基づく印税計算が行えるほか、出版社の要望に応じて、支払通知書の作成や発送などの業務を大日本印刷が受託する。
現在、電子書籍の普及に伴い、著作権契約管理業務の煩雑化が表面化してきている。書籍を1冊単位ではなく、短編1話分や連載1回分、あるいは章単位などに細分化した販売形態の登場、さらに、流通経路の多様化など、著者への印税支払の方式や頻度は増加し、その管理業務は出版社にとって大きな負荷になりつつある。
こうした状況を踏まえ大日本印刷では同ASPサービスに電子書籍向け機能を拡充。細分化した商品や組み合わせセット商品など、多様な電子書籍の契約情報の管理および印税計算、印税の最低支払金額を設定した小額の印税支払いの効率化、著作権相続に対応した印税管理などを新たな機能として追加した。
同サービスの基本使用料は月20万円。これに加え、データベースへの登録数に応じた課金が発生する。支払通知書の作成・発送業務などは個別見積もり。トライアル期間中は基本使用料のみ。すでに東京大学出版会でトライアル導入が決定しており、2013年までに2億円の売り上げを目指すとしている。
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